マレーシアでHIV患者らがTPP反対デモ
2013年7月24日4:32PM
マレーシア・クアラルンプールで開催された国際エイズ学会(IAS)の「HIV(エイズウイルス)基礎研究・治療・予防会議」で7月1日、HIV感染者や乳がん患者ら数十人が「TPP(環太平洋戦略経済連携協定)やFTA(自由貿易協定)に絶対反対」と抗議の声を上げるデモがあった。「TPP等により薬剤など治療費が大幅に上がるのは確実」「私たちの命を貿易の道具にしないで」と世界各地から集まった5000人のHIV感染者や医師、研究者、政府・国連関係者に呼びかけ、学会参加者から賛同する拍手が湧き上がった。
反TPPデモにはアジア太平洋HIV感染者ネットワークのエイズ患者を中心に乳がん患者らも加わった。エイズなど多くの疾病治療薬は、多国籍製薬企業の高価な先発薬の代わりに、安価なジェネリック薬が流通している。しかし、米国主導のTPPや、米国に対抗する欧州などによるFTAにより「知的所有権」が強化されれば、ジェネリック薬などが手に入らなくなり生命の危機に直結する、との懸念が急速に拡がっている。IASのフランソワーズ・バレシヌシ理事長らは、デモをした活動家らの主張を支持すると表明した。
同国では7月15から25日にボルネオ島のコタキナバルでTPP拡大交渉会合が行なわれる。日本は23日午後から3日間、初めて参加する予定だ。
(杉山正隆・ジャーナリスト、7月12日号)