香港で大規模な「7・1デモ」――「普通選挙」実現など求め
2013年7月26日6:31PM
日本では参議院議員選挙が始まったが、英国からの返還一六周年を迎えた香港で七月一日、「普通選挙の実現」などを求める民主団体主催の「7・1デモ」が実施された。台風警報発令中にもかかわらず若者を中心に多くの人が集まり、香港特別行政区政府のトップである梁振英行政長官の辞任を求めるプラカードを掲げている人や、不動産対策やインフレ対策への不満を背景に社会保障の充実を求める声などが目立った。
香港の政界は親政府派と民主派に大きく分けられ、デモを主催した民主団体とは民主党、公民党などの政党や、これらと関係をもつ労働団体や女性団体などを指す。民主団体が求める「普通選挙」とは、行政長官や立法会議員を市民が直接選挙で選べるようにすること。「自分たちのリーダーを自ら選ぶことができない現行の選挙システムを変えたい」という市民の不満は増している。
ちなみに行政長官は財界、医師、弁護士などの専門職、社会団体、議会議員などから選ばれた選挙委員による間接投票で選ばれ、任期は五年。二〇一七年から普通選挙の実施が決定しているものの、中国政府高官は民主派を長官選から排除する方針を示唆している。
国際金融都市として大きく経済発展を遂げている人口約七〇〇万人の香港だが、日本と同様に格差や高齢化の問題が深刻化。日本と異なり生活保障が少ない香港は、退職後に最低限の生活費に窮する市民が多い。直近の選挙(昨年九月の第五期立法会議員選挙)では、議席数の拡大や直接選挙での選出枠が新たに設けられて激化。地区別の直接選挙枠では過去最高の約一八三万人が投票し、投票率は五三%だった。
「普通選挙」で実施される日本の参院選の投票率は当然、この香港立法会議員選挙を大きく上回ってしかるべきなのだが……。
(楢橋里彩・香港在住ジャーナリスト、7月12日号)