国会議員関係政治団体の指定受けず――支出不透明な佐藤正久後援会
2013年7月30日7:04PM
「ヒゲの隊長」こと陸自元1佐で防衛大臣政務官・佐藤正久参議院議員候補(自民)の後援会「佐藤正久後援会」(総務大臣届出・代表は元陸幕長の森勉氏)が、パーティ券の売り上げなど年間五〇〇〇万円を超す収入(繰越金込み)を得ていながら国会議員関係政治団体の指定を受けていないことがわかった。国会議員関係政治団体は、支出に関して詳細な説明義務がある。説明義務をかわすため、意図的に「指定はずし」を行なった可能性は否定できない。
佐藤氏の事務所は「法律の定める要件からして、『その他の団体』に指定された」と釈明する。しかし「その他の団体」を国会議員団体にするかどうかは議員の選択に任されており、説得力を欠く。政治資金規正法により、国会議員は自身を支援する団体を「国会議員関係政治団体」に指定できる。指定を受ければ、寄附金控除など税制上の優遇と引き換えに、事務所費など一万円以上の支出の使途など詳細な支出の報告や小額領収書の開示、監査の義務を負う。「政治とカネ」の透明化を目指す法制度だ。
「佐藤正久後援会」も国会議員団体の届出をすることはできるが、あえてしないという選択をした。結果、同後援会は細かい支出についての説明をいっさいしていない。二〇一一年分収支報告書によれば、事務所費や人件費、「その他」など領収書のない支出が約八八三万円あるが、これらの具体的な使途報告はなく、監査もされていない。同様の「不透明」な支出は、一〇年分が五七二万円、〇九年分七一三万円。過去三年で二〇〇〇万円を超す。
佐藤氏の後援会団体は、「佐藤正久京都後援会」など都道府県選管届けのものも多数ある。やはり国会議員団体の指定はない。「責任力」と自民党はかつて叫んでいた。その真意とは「説明責任逃れ力」だったのか。
(三宅勝久・ジャーナリスト、7月19日号)