国有地を50年間近く駐車場に――自民党の不法占拠を告発
2013年7月31日9:29PM
自民党が衆議院の管理する国有地を五〇年近くも無許可・無支払いで駐車場に使用しているのは「悪質な政官癒着だ」として、東京都内の男性ら三人が七月三日、同党の安倍晋三総裁や衆議院の鬼塚誠事務総長ら五人を背任の容疑で東京地検に告発した。
告発状によると、この国有地は自民党本部の敷地内にあり、約四〇〇坪の広さ。だが一九六六年に本部が建設されて以降、自民党は衆議院との間で賃貸契約も締結せず、賃料も支払わないで駐車場として使用し続け、今日まで至っている。原告側の主張では、正規に賃料を支払った場合、付近の地代で換算すると遅延損害金も含め計約一五億円相当になるという。
二〇一一年一一月に民主党の調査でこの事実が発覚し、鬼塚事務総長は同年一二月の衆議院予算委員会で、自民党が国有地を無断・無償で使用しているのを認め、「今後土地管理の適正化をはかる」と答弁していた。だがその後、国側が地代を自民党側に請求した事実はなく、自民党側も国有地と隣接地の境界に仕切りコーンを設置しただけだ。
このため原告側は、鬼塚事務総長を「第三者の利益を図りその任務に背く行為をした」として、背任容疑で告発。安倍総裁を含めて二年前の発覚以来同党の要職を務めた谷垣禎一前総裁と石原伸晃前幹事長、石破茂現幹事長の四人を、背任罪の共同正犯として告発したもの。自民党側は「問題ない」(石原氏)、衆議院側は、「告発状を確認していない」としているという。
告発後、国会内で記者会見した原告代理人の河合弘之弁護士は、「経済産業省は脱原発のために闘っている市民が省の敷地内に建てたテントの明け渡しを求めて訴訟まで起こしながら、衆議院は五〇年近くも自民党の国有地無断使用を黙認している。これは、政・官の悪質な馴れ合いだ」と述べ、裁判で追及する意義を強調した。
(成澤宗男・編集部、7月19日号)