白川司郎氏の名誉毀損訴訟――ファクタ出版に賠償命令
2013年8月9日12:01PM
原発警備会社ニューテックの会長を務める白川司郎氏がファクタ出版を相手に名誉が毀損されたなどとして、二〇一〇年一〇月に約六七〇〇万円の損害賠償金等を求めた裁判の判決が七月一九日、東京地裁(相沢哲裁判長)で出された。判決はファクタ出版に対して、裏付け取材に不十分な部分があったとして損害賠償金一一〇万円の支払いを命ずる内容だった。
訴訟対象となった記事は、月刊誌『FACTA』の一〇年九月号に掲載された「仙谷官房長官と白川司郎の『点と線』」と題する記事。
白川氏は訴状で、亀井静香衆院議員について「司郎自身、亀井を『兄弟分』と評した」とあるが、原告は亀井議員をこのように公言した事実はない、など九項目を主張していた。
判決では「原発フィクサー」の記述について「真実だと信じる相当の理由があった」と認定した。
この判決の直前、『朝日新聞』は七月一六日付一面トップ記事で使用済み核燃料中間貯蔵施設(青森県むつ市)の立地をめぐり白川氏が東京電力から依頼を受けて裏金二億円を西松建設に肩代わりさせたと初めて実名で報道した。『朝日』報道は判決の直前であったため判決に反映されたかは疑問だ。
ちなみに今年三月一九日に東京地裁で開かれた白川氏本人の証人尋問で、西松建設からニューテックへの四〇億円融資について、以下の通り、驚くべき証言を行なっているので紹介する。
「〈あうん〉で多分そういうふうになって。そこまで詰めた話じゃないけど。たまにゴルフしたりしてきた。そういう話もありますから。〈あうん〉で貸してよ、じゃ貸すよ、こんな話」
西松幹部とのゴルフコンペの場で巨額融資が「あうん」の呼吸で決まる――、白川氏の大物ぶりが浮き彫りになっていた。
ファクタ出版側は控訴の方向で検討している。
(田中稔・ジャーナリスト、7月26日号)