宮城の和田政宗氏がネット通じ――選挙でヘイトスピーチ
2013年8月20日11:15AM
参院選二人区の宮城県選挙区で競り勝ったみんなの党の新人・和田政宗氏が対立候補の岡崎トミ子氏に対し、インターネットを通じたネガティブキャンペーンを公然と展開していたことがわかった。
三八歳の和田氏はネット解禁を促進した楽天・三木谷浩史氏の支援を受け、選挙でネットをフル活用。選対本部長である林宙紀衆議院議員(三五歳)は「今回の選挙はネットがあったから勝てた」とマスコミに答えた。しかし、開票日翌日の新聞はネガティブキャンペーンの激しさを報じた。
和田氏のユーチューブ「政宗ちゃんねる」を開くと岡崎氏への露骨な誹謗・中傷であふれていた。サイトに並んだ動画は外国人差別を助長するヘイトスピーチ(憎悪表現)で埋められ、岡崎氏に対する「売国奴」「国賊」の文字が飛び込んでくる。
岡崎氏が韓国の元「慰安婦」たちの示威行動に参加した時(二〇〇三年二月)の数点の写真を大きく取り上げて「反日」と断定し、名指しで「あなたの一票を託せますか」と繰り返している。
再生回数は二万回以上に上る。橋下徹大阪市長の「慰安婦」問題発言への抗議が全国各地から上がったのはわずか二カ月前。同じ時期には元「慰安婦」への諸権利の保障とヘイトスピーチや示威行動を防止するよう、日本政府に国連の社会権規約委員会から勧告が出されている。
元NHKアナウンサーの和田氏がそのことを認識していないはずはない。橋下氏の発言などを契機に、日本維新の会との連携を見合わせたみんなの党だが、同党の候補者とは思えないような選挙活動といえよう。
この卑劣な戦術をネット選挙のモデルにさせてはならない。日本では外国人差別への法整備が立ち遅れているとはいえ、公職選挙法の虚偽事項公表罪や刑法の名誉毀損罪が適用されてしかるべきケースではないか。
(富沢由子・フリーライター、8月2日号)