被害対策弁護団が発足――「ブラック企業」は根深い問題
2013年8月30日6:07PM
代表の佐々木亮弁護士は「ブラック企業の狭義の定義は、新興産業において若い労働者を採用しては使い潰す会社をいい、広義には不当な労働を強いて労働者の心身を危険にさらす企業」と説明。
その典型例として長時間労働(安全配慮義務違反)や残業代の不払い、詐欺まがいの契約(固定残業代、直前での雇用形態の変更など)、管理監督者制度・裁量労働制の濫用、パワーハラスメント、過労鬱・過労自殺・過労死の隠蔽などを列挙した。
今後の活動として、被害者の法的権利実現、被害の対応策研究と情報の発信、ブラック企業の実態調査、社会への問題提起などを展開していく。
北海道から長崎県まで、五〇人超が同弁護団に名を連ねており(三一日時点)、今後も規模を拡げ、「組織としては各都道府県に一人ぐらい、被害者が相談できる窓口をおきたい」(佐々木氏)と話す。
会見では実際にブラック企業の被害者三組も列席し、それぞれの実体験を報告した。エステ・マッサージ職に従事してきたという二〇代の女性は、深夜におよぶ重労働や、朝礼で過度に叱責されるなど生々しい現場を証言し、「働いている間はずっと辛かった」と振り返った。また、会見後の本誌の取材に対しては、「相談して気持ちが楽になった。自分と一緒に怒ってくれる人がいることが嬉しかった」と話し、同世代の被害者に「一人で悩まないで」と呼びかけた。
なお、同弁護団はインターネット上にホームページ(URL http://black-taisaku-bengodan.jp/)を開設。随時、情報を更新していくという。
(内原英聡・本誌編集部、8月9日号)