配管破断、ヒビ割れの可能性も――東電汚染水漏れに地震説浮上
2013年9月10日5:28PM
福島第一原発からの汚染水漏れの一因として、「地震損傷説」が浮上している。八月八日に東京・永田町で開かれた汚染水関連の集会で、「プルトニウムなんていらないよ!東京」の高木章次氏は、「原子炉建屋の底部が地震によって損傷しているのではないか」と推測。東京電力は「地震によって大きく損傷されたヒビ割れはない」と主張している。これに高木氏は「小さなヒビ割れは排除しておらず、全否定ではない」と強調した。
また「津波による全電源喪失の恐れを上司に進言したが、無視された」と告発した元東電の技術者・木村俊雄氏も、この地震損傷説に賛同した上でこう続けた。
「地震損傷説と汚染水漏れに密接な(因果)関係がある可能性があります。地震によって配管や建屋、地下坑道にヒビが入って汚染水漏れを招いている疑いがあるということです。もしこれが正しければ、耐震性向上が必要となり、再稼働のための基準を作り直さなければならない。それで規制委員会も東電もこれをタブー視、真剣に検証しようとしないのではないか」
木村氏は東電時代、原子炉プラント内にある計測用の親指ぐらいの配管が「地震に耐えられないのではないか」と社内で問題視されていたことも暴露、こう指摘した。
「今でも東電は、この計測用配管が地震で破損していたのか否かを発表していない。もし配管の破損が起きていたら懸案事項への対策を怠り続けていたことになるし、地震損傷説の可能性も高まります。東電は『大きな配管破断はなかった』と反論していますが、『小さな配管破断』でも事故につながるのは原発技術者の常識。原発事故や汚染水漏れの原因解明には、地震による破損があったかを調べることが不可欠なのです」(木村氏)
地震損傷説について社民党の福島みずほ・前党首も「地震でヒビ割れや破損が起きた可能性がある」と指摘、検証を提起している。
(横田一・ジャーナリスト、8月30日号)