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田中委員長が首相プレゼンを擁護――「政治家の発言」は大問題

2013年10月1日6:33PM

安倍首相のプレゼンを擁護する発言をした原子力規制委員会の田中俊一委員長。(撮影/横田一)

安倍首相のプレゼンを擁護する発言をした原子力規制委員会の田中俊一委員長。(撮影/横田一)

原子力規制委員会の田中俊一委員長は九月一一日の会見で、「安全」を強調したIOC(国際オリンピック委員会)総会での安倍晋三首相のプレゼンテーション(説明)を擁護する発言をした。

 安倍首相のプレゼンについては「福島県民は『嘘だ』と怒っている」(民主党の増子輝彦参院議員)との指摘がある。そこで、田中委員長に福島県沖の魚を食べるよう安倍首相に勧めるかと聞くと、「大いに食べていただきたい。(福島県)伊達市の干し柿やきのこを私も食べているが、元気に過ごしている」と発言した。

 また、漁業への影響も深刻化しているため、「高濃度に汚染された食品も混ざる可能性はないか」と聞くと、事態を問題視していない田中委員長は「獲った魚は全部測定。基準を超える魚は市場に出ていないし、出すことはないと思う」と答えた。

 汚染水の影響が「港湾内に完全にブロックされている」根拠として、安倍首相が飲用水の基準を持ち出したことも生物濃縮を無視する問題発言。そこで、海水中の水銀濃度は基準値以下でも生物濃縮をした魚を食べて被害が出た水俣病の例を出して「(水俣病の)歴史的教訓を安倍総理は無視した不適切発言だと科学者として思わないのか」とも聞いたが、田中委員長は「(魚介類への)生物関係の濃縮は否定しているわけではない」と断りながらも、「政治家の発言として問題ない」と論点をずらした。

 IOC委員が質疑応答で安倍首相に求めたのは、汚染水の「技術的な説明」だった。科学的とは言い難い「政治的発言」をした安倍首相が、状況を正確に伝えなかったのは明らかだ。

 田中委員長も科学者として「適切な発言」と明言せず。また、首相発言を「嘘」と指摘する海外メディアも現れ、今後、「安倍プレゼン」が国内外で厳しい批判に晒されるのは確実だ。

(横田一・ジャーナリスト、9月20日号)

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