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東京・荒川区で環境基準の一一〇〇倍――公園からダイオキシン検出

2013年10月8日6:13PM

シートがかけられ、無残な姿となっていた都立尾久の原公園内の芝生広場。(撮影/池田こみち)

シートがかけられ、無残な姿となっていた都立尾久の原公園内の芝生広場。(撮影/池田こみち)

 二〇二〇年夏季五輪の開催地が東京に決まるのを待っていたかのように、開催地決定の三日後となる九月一一日、東京都下水道局がホームページに環境基準の一一〇〇倍となる土壌ダイオキシンを検出したことを報告した。

 場所は東京都荒川区東尾久七丁目。一九七七年に旭電化工業(株)(現在は(株)アデカ)の工場跡地を東京都が購入し、都立医療技術短期大学(後に首都大学東京荒川キャンパスとなる)、都立尾久の原公園、運動場、都営住宅、などを順次整備してきた。現在、九九年に開設された東京都東尾久浄化センター内に新たに水処理施設の建設工事が進められている。

 その工事に伴って、浄化センター敷地内の土壌から昨年一二月、環境基準(土壌一グラムあたり、一〇〇〇ピコグラム以下)を大幅に超過するダイオキシンが検出されたことがこの問題の発端となっている。

 その後、東京都が、隣接する大学敷地、公園・運動場などの表層土壌を調査したところ、公園内の土壌から基準をさらに大きく超過する値(最大六二〇〇ピコグラム)が検出され、公園内の池の水も四・六ピコグラムと基準値(水一リットル中一・〇ピコグラム以下)を超過していることが判明した。

 その結果を受けて、今年六月から八月にかけて浄化センター内と公園内の土壌を掘削し、深度調査を実施したところ、センター敷地内で何と一一〇万ピコグラム、公園内で四四万ピコグラムの汚染が発覚した。まさに驚愕の汚染だが、九月二四日現在、メディアはまったく報じていない。

 同地域は、隅田川に沿って広がる下町の密集した住宅地で、周辺には学校も多数ある。現在、汚染が発覚した公園の一部にはフェンスが張られ、小さな張り紙が数カ所あるものの、北東側の芝生広場は六月から解放され、犬の散歩を楽しむ周辺の住民や子どもたちで賑わっていた。公園の子どもに声をかけたが、なぜフェンスがあるのかを知らなかった。

 隣接する首都大学東京の敷地内の土壌からは数百から最大一〇〇〇ピコグラムの汚染が発見されているが、基準以下であるとして、大学としては何ら学内外への注意喚起などを行なっていないとのこと。だが、すぐ隣の公園では四四万ピコグラム、高い塀を挟んだ裏側の浄化センター敷地内では一〇〇万ピコグラム超の汚染が発覚している。荒川キャンパスは健康福祉学部の本拠地であるにもかかわらず、ダイオキシン汚染についての認識が甘すぎないだろうか。

 筆者らは、現在、汚染の原因を究明する作業に着手した。東京都はまず、これまでの情報を整理して、汚染の実態をしっかりと都民、メディアに伝える義務がある。その上で、今後の対策をどうするのか、早急に第三者的な検討会を立ち上げて、協議すべきである。

 ドイツの基準値は子どもの遊び場で一〇〇ピコグラムと日本の一〇倍厳しい。イタリアのセベソでは、農薬工場の爆発によって汚染された土地を三〇年以上経った今もほぼ封鎖している。

 都はこっそりと結果を発表しただけで管理者責任を免れることはできない。

(池田こみち・環境総合研究所、9月27日号)

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