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大阪高裁、地裁判決くつがえす――受刑者の選挙権制限は違憲

2013年10月16日7:44PM

「受刑者に選挙権を認めない公職選挙法一一条は憲法違反」との初判断を示した判決が九月二七日、大阪高裁(小島浩裁判長)であった。訴えていたのは大阪市西成区に住む稲垣浩さん(六九歳)。道路交通法違反罪等で服役中だった二〇一〇年七月の参院選で投票できなかった。今年二月の大阪地裁判決は「合憲」と判断していた。

 小島裁判長は「憲法は投票による国政参加を国民固有の権利として保障しており、投票する機会を平等に保障している」と、選挙違反の罪を犯した者に限って一定の範囲で選挙権の制限を認めるほかは、「やむを得ない理由」がなければ違憲になるとした〇五年最高裁判例(在外国民選挙権制限規定)に沿って判断。受刑者について「選挙権の行使とは無関係な犯罪が大多数であり、一律に公民権をも剥奪されなければならないとする合理的根拠はない」と指摘した。

 国側は受刑者に選挙権を認めると事務的支障が出ると主張していたが、裁判長は「憲法改正の国民投票は受刑者にも認められているし、選挙公報を届けるのは在外国民よりも容易で、不在者投票で選挙権を行使させることは可能だ」として、違憲だと結論づけた。

 稲垣さんは国に一〇〇万円の損害賠償を求めるなどしていたが判決自体は控訴を棄却。国側が勝訴したことになる。弁護団の大川一夫弁護士は「公選法に対して憲法違反と認定したのは画期的なこと。勝訴している被告・国は上告できないが、実質的にはこちらが勝ったと言える」と、今回の高裁判断の意義を語る。

「受刑者としての私は懲役刑しか科せられておらず、そのほかの公民権は認められるべきだと一貫して考えてきた。高裁判決がそれを明らかにしてくれ、胸がすく思いだ。正しいと思うことは何があっても主張し続けることが大事だとつくづく思った」と稲垣さん。上告するかどうかは検討中だ。

(佐藤万作子・ジャーナリスト、10月4日号)

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