帰還迫られる福島・田村市で放射線調査――除染道路の4割が効果なし
2013年10月30日2:26PM
支援対象などの見直しがなされないまま、「子ども・被災者支援法」の基本方針が一〇月一一日、政府で閣議決定された。約四九〇〇件のパブリックコメント(意見公募)も無視された形だ。支援対象は福島県東部の計三三市町村のみ。一方で避難指示区域に指定されていた一部地域の指示が解除され、住民は「帰還」への決断を迫られる危険が出てきた。
特に、「避難指示解除準備区域」に一部が指定されている福島県田村市では、「除染作業が完了した」とされる主要道路でさえ約四〇%の地点で年間一ミリシーベルト(mSv)を上回る空間線量が計測されたことが判明。除染効果の再評価を求める声が上がっている。
国際環境保護を促進するNGO(非政府組織)グリーンピースが一〇月一日~五日にかけて、同市の道路や住宅とその周辺、田畑などで行なった放射線調査によって明らかになった。
一〇日に東京都内で行なわれた記者会見によると、福島第一原発から二〇キロ圏内に位置する同市の主要道路約九〇キロメートル・一万八〇〇〇カ所で計測を行なった。結果、三九%の地点で放射線量が毎時〇・二三マイクロシーベルト(μSv)を上回っていることがわかった。一年間の放射線量を一mSvに保つために政府が目標としている値を超えるものだ。
住宅の敷地については、線量は目標値以下となっており除染効果があったと言えるが、ある住宅ではほんの三〇〇メートル離れた細道に入ると線量が急に毎時一・四μSvにはね上がったという。
東日本大震災直後から調査をしてきたベルギー出身でグリーンピース所属のヤン・ヴァンダ・プッタ放射線防護アドバイザーは、「除染されていない地域における空間線量が高すぎる。主要道路や家屋だけを除染しても、きれいな部分だけ縫って歩くように生活しろということになる」と指摘した。
(渡部睦美・編集部、10月18日号)