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JR東海のリニア計画説明会――具体的な言及を回避

樫田秀樹|2013年11月15日3:08PM

 

長野県大鹿村での説明会。JR東海の社員(左側)に説明の延長を訴える住民ら。(撮影/樫田秀樹)

長野県大鹿村での説明会。JR東海の社員(左側)に説明の延長を訴える住民ら。(撮影/樫田秀樹)

 

JR東海のリニア中央新幹線計画の事業内容を示した「環境影響評価準備書」が九月二〇日に縦覧され、七都県での九二回にわたる説明会が一〇月一八日、終了した。

各地の説明会に参加した市民団体「リニア新幹線沿線住民ネットワーク」の伊藤貴徳さんは「不満だらけです」と憤る。

準備書にはリニアの走行ルート、中間駅や変電所の位置などは示されたが、東京・名古屋間二八六キロの九割近くがトンネルになることでの膨大な建設発生土の処分方法、トンネルでの事故時の救出方法、走行車内での電磁波の強さ、水枯れ対策などの具体的記述がなかったからだ。

質問が出ても、ほとんど延長なく閉会された説明会のあり方も住民の不信を招いた。

一〇月一七日には、計画の凍結と再検証を求め、ネットワークの二五人が国土交通省、環境省と交渉したが、国交省は「沿線住民への影響を少なくするよう計画されている」と主張。

環境省は「乗客の安全をJR東海はないがしろにしない」との役人答弁に終始した。

交渉行動の後、公共事業の課題を発信する市民団体「公共事業改革市民会議」が「土管列車でGO!」という集会を開催し、リニアは地上部では騒音対策で土管のようなコンクリート製フードに覆われるため、眺望はゼロだとした。

ここで、市民団体「リニア・市民ネット」の掛樋哲夫さんが準備書での「磁界」の説明について、「リニア車内の測定データが非公表。測定しているはずなのでデータ隠蔽だ」と、住民に情報を与えないJR東海の体質を批判した。

準備書説明会は、JR東海と住民が接触できる最後の機会だった。この後、当該知事が「計画は妥当」との意見書をJR東海に挙げれば、来年度にリニアは着工される。

住民に残されたのは、JR東海へのパブリックコメントの送付だ。送付は、同社のホームページ経由か郵送で一一月五日まで。

(樫田秀樹・ルポライター、2013年11月1日号)

 

 

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