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企業責任を回避する三菱自を提訴――アスベスト被害の救済を!

2013年12月4日1:05PM

自動車業界のアスベストのリスクを説明する河西保夫さん(右)と支援者。(撮影/小林蓮実)

自動車業界のアスベストのリスクを説明する河西保夫さん(右)と支援者。(撮影/小林蓮実)

「自動車業界の一〇〇名以上にのぼるアスベスト労災死亡事件の詳細公表と、熟年ドライバー・幹線道路住民への健康被害警告、予防告知も求める」

 二〇一〇年に岡山県で死亡した三菱自動車工業(以下、三菱自)水島製作所元社員・河西斎さん(享年八一)の息子である河西保夫さん(五三歳)は一一月一三日、自動車業界とアスベストの危険について訴える記者会見を開き、こう述べた。斎さんは一九六四年に、自動車部門独立前の三菱重工業(以下、三菱重工)に入社。トラックボディの溶接作業などでアスベストに「曝露」し、悪性胸膜中皮腫で死亡した。

 三菱重工においては、保夫さんいわく「自動車業界で事実上初めて」アスベスト被害を認め、在籍期間に応じた企業補償が実施された。しかし七〇年に独立した三菱自においては、一一年に政府から労災認定が出たものの、企業責任については作業と発症の因果関係は「証明されていない」とし、責任を回避してきた。

 保夫さんは今年七~一〇月、東京簡易裁判所で三菱自との調停を重ねてきたが、三菱側は守秘義務条項を提示。「合意書を前提とする調停であれば応じる用意がある」としたほか、損害賠償請求権の行使をほのめかしながら、保夫さんのブログなどでの活動報告を控えさせようとする提案もあったという。このため保夫さんは一一月七日、三菱自に補償金・慰謝料、事実の公表と発病予防のための告知などを求め、東京地裁に提訴した。

 アスベストはブレーキやクラッチの摩擦材に使用されてきたが、自動車業界の対応は、造船・建設・運輸業に比して遅れている。だが、厚生労働省発表の労災認定事業所として自動車メーカーも名を連ねる。アスベストの発症までの潜伏期間は一五~五〇年。業界の責任を追及し、被害者を埋もれさせてはならない。

(小林蓮実・ライター、11月22日号)

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