福島原発告訴団、検察の姿勢問う――検察審査会に異議申し立て
2013年12月11日6:52PM
福島第一原発事故で東京電力幹部らを刑事告訴・告発した福島原発告訴団は一一月二二日、東京地検の不起訴処分を不服として、東京検察審査会に対し、第二弾となる審査申し立てを行なった。一カ月前の一〇月一六日に先行して行なわれた武藤類子団長ら三人の審査申し立てと併せ、これで総勢五七四〇人による検察への巨大“異議申し立て”となる。この日、告訴人らは皆、検察当局の「姑息なやり方」(告訴人の談)への怒りを口にしていた。
そもそも、同告訴団が告訴・告発を行なったのは福島地検に対してである。仮に不起訴になったとしても、同じ被曝の危険に晒されていた福島県民によって審査される福島検察審査会でのリベンジを想定していたからだ。それがなぜ、東京での申し立てとなったのか。
福島地検は九月九日午前、東京への五輪招致が前日に決まったドサクサに紛れ、東京地検への「移送」処分を決定。福島検察審査会への申し立てを嫌った検察による、露骨な申し立て妨害だった。不起訴処分をひっくり返され、不名誉を被る恐れが高いと踏んだ検察官が、保身のために“猿知恵”を働かせたのだろう。
そして、移送された先の東京地検は間髪入れず、同日中に不起訴処分とした。そのため同告訴団は、東京の検察審査会に申し立てせざるを得なくなったのである。
検察が犯した“罪”は他にもある。同告訴団の告訴・告発は、菅直人元首相らを刑事告発していた他団体の告発と一緒に不起訴にされていた。その際の検察発表が大変粗雑だったため、マスコミ記者や一般市民の間に「告訴団が菅元首相らを告訴していた」との誤解が広まったのだ。ベテランの記者でさえ、今なお誤解し続けている者がいる。この誤解を解く責任はすべて、検察当局の側にある。
原発事故被害者をさらに鞭打つような検察に、猛省を促したい。
(明石昇二郎・ルポライター、11月29日号)