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阪急交通社が敗訴、緊急命令も――派遣先も団交応じよ

2014年1月15日6:43PM

「画期的な判決」と話す東京東部労組阪急トラベルサポート支部の組合員ら。(撮影/片岡伸行)

「画期的な判決」と話す東京東部労組阪急トラベルサポート支部の組合員ら。(撮影/片岡伸行)

 ツアーの間だけ雇用契約を結ぶ派遣元(阪急トラベルサポート)ではなく、ツアー内容を決める派遣先(阪急交通社)は添乗員の労働組合との団体交渉に応じる義務があるとした中央労働委員会の命令(二〇一二年一一月)を不服とし、(株)阪急交通社(生井一郎代表取締役)が国を相手取って取り消しを求めた行政訴訟で、東京地裁(竹田光広裁判長)は一二月五日、同社の請求を棄却。「雇用主と同視できる程度に派遣労働者の基本的な労働条件等を現実的かつ具体的に支配、決定していると認められる場合」には団体交渉に応じる義務があるとの判断を示した。

 実質的な雇用者である阪急交通社は団体交渉に応じよとして、全国一般東京東部労働組合阪急トラベルサポート支部(塩田卓嗣委員長)が〇八年四月に東京都労働委員会に不当労働行為救済申し立てをして五年。都労委、中労委に続き、阪急側の主張が退けられたのは今回で三度目。同日の判決を受け、中労委からは「緊急命令」が出されたため、阪急側がこの命令に従わない場合は五〇万円の科料に加え、不履行の日一日ごとに一〇万円の支払いが科される。

 同訴訟に補助参加した東京東部労組の菅野存委員長と阪急トラベルサポート支部の境千代香さん、庄野操さんらは同日、厚生労働省記者クラブで会見。「長時間労働で苦しめられている派遣旅行添乗員のみならず、派遣労働者全体に希望を与える画期的な判決」「この判決を元に全国の派遣労働者が労働組合を作って実質の雇用者である派遣先との団体交渉を実現できる」などと判決の意義を口々に語った。同判決と緊急命令に基づいて組合側は近く阪急交通社に団体交渉開催を申し入れる予定だ。

 なお、組合側と阪急トラベルサポートとの間で争われている三件の残業代未払い訴訟(すべて組合側勝訴)は、会社側が不服として現在上告中だ。

(片岡伸行・編集部、12月13日号)

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