地元民が原子力規制委に質問状――問題山積の東海村
2014年1月16日4:13PM
茨城県東海村の加速器実験施設「J-PARC」で五月に発生した放射性物質漏れ事故に関して、同村の市民団体が原子力規制委員会に事前に提出していた質問状の回答を求める面会が一二月一三日、参議院議員会館で開かれた。
質問状は施設の再稼働や工事着工が事業者の一方的な判断で年内から年明けにも行なわれることを危惧した内容で、地元で行なわれた事業者主催の住民説明会での安全意識の欠如も指摘している。
面会には原子力規制庁安全規制管理官だけでなくJ-PARCも出席。市民側には大門実紀史参院議員(共産党)、相沢一正東海村村議も同席。「事前に知らせず、J-PARCがなぜ出席しているのか」と冒頭に市民側から反発が起き、話し合いは三時間に及んだ。
J-PARC放射性物質漏洩事故の問題をブログ「古性隆の陽はまた昇る」で追い続けてきた古性隆さんは「3・11地震で加速器に亀裂ができ、地下水が流入したことについて事故報告書が残っていないなど事故対応管理があまりにも軽視されている。J-PARCは五月の事故にしても原因について規制庁へ報告したが、その後の住民説明会ではきちんと説明しなかった」と憤った。
脱原発とうかい塾の相沢村議は「施設を所有するJCOは周辺住民に焼却炉着工に反対する者はいないというが、それは間違い。規制庁ができる直前にあわただしく文部科学省に焼却炉認可をJCOは求めた経緯がある。焼却炉メーカーがどこで、どの様な構造なのかJCOははっきりさせるべきで規制庁としてもきっちりと指導していただきたい」とした。しかし、規制庁は「機会があればお知らせしてみたい」という曖昧な態度で参加者は不信を露にした。市民団体側はJCO焼却炉の工事着工が迫っていることに危機感を高めている。JCOとの面会も今後、地元で続ける構えだ。
(中村ゆうき・フリーライター、12月20日号)