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4年ぶりに埼玉県蕨市で行なわれた排外主義デモに抗議――ヘイトスピーチを許すな!

2014年2月3日6:45PM

カウンターデモ。日章旗、五星紅旗、太極旗、フィリピン国旗を掲げ、外国人との共生を訴えた。(撮影/島崎ろでぃー)

カウンターデモ。日章旗、五星紅旗、太極旗、フィリピン国旗を掲げ、外国人との共生を訴えた。(撮影/島崎ろでぃー)

「卍」を羽織り、排外デモをする男性(中央)。(撮影/島崎ろでぃー)

「卍」を羽織り、排外デモをする男性(中央)。(撮影/島崎ろでぃー)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 油性ペンで「除鮮」と殴り書きした防護服風の衣装に身を包んだ男が「外撲協」(外国人犯罪撲滅協議会)のフラッグを掲げデモ先頭を歩く。彼は巨大なハーケンクロイツ(ナチスの逆鉤十字)をマントのように羽織っていたが、裏返っていたのか制作ミスなのか、それは逆鉤十字「”」ではなく「卍」。何もかもがでたらめなのだ。

 1月19日の昼過ぎ、埼玉県のJR西川口駅から蕨駅前までの一帯で「中国人ほか外国人の入国全面禁止要求」を掲げるデモが行なわれた。主催の外撲協の母体は瀬戸弘幸氏を顧問とする「NPO法人外国人犯罪追放運動」で、そのルーツには1990年代初頭に埼玉を拠点としたネオナチ組織、国家社会主義者同盟がある。瀬戸氏らは2000年代なかばに現れた在特会(在日特権を許さない市民の会)を側面から、あるいはときに一体となって支えてきた、現在の排外主義勢力の中心のひとつだ。

 今回のデモは、5年前の09年4月11日に蕨市で行なわれた在特会主催のデモの延長線上にある。家族の中でただひとり在留特別許可を得た在日フィリピン人少女をターゲットにし、少女の通う中学校前をデモコースに組み込んで「日本から出て行け」と拡声器で罵倒した行為は、弱い者いじめであるとして既存の保守や右翼からすら大きな反発を受けた。彼らは翌10年4月にも蕨市で同趣旨のデモを行なっており、そのときの共催にも「NPO法人外国人犯罪追放運動」が名を連ねている。

 ただし、09~10年と今回で大きく違っているのは、排外主義デモに大声でNOを言う人が大量に現場にいたことだ。5年前の {蕨デモ} ではカウンター有志約20人が沿道から反対の声を上げていたが、120人のデモ隊との勢力差は歴然としていた。ところが今回は、デモ隊約30人に対しカウンターは約200人。沿道からの罵声やシュプレヒコールで、デモの主張は完全にかき消された。

 また西川口・蕨の近隣住民有志が外国人排斥に反対の立場から事前に周知活動をし、当日も沿道へ説明ビラを配ってまわった。5年前の {蕨デモ} をきっかけに結成された「差別・排外主義に反対する連絡会」も周辺団地へのパトロールなど地道な行動を担った。

 さらに排外デモに先駆け、当日午前にほぼ同じコースでカウンターデモ「ヘイトスピーチを許すな!お知らせデモ ~差別反対!埼玉パレード」(男組主催)が行なわれ、80人以上が参加した。

 13年に東京・新大久保や大阪・鶴橋から始まったカウンター行動は、現在では札幌や名古屋、大分や下関といった地方都市にまで広がりを見せている。それぞれが、自分たちの町へのレイシズムの伸長を許さないと立ち上がった地元有志によるものだ。西川口~蕨においても、関東一円から集結したカウンター勢力と地元住民がうまく連携してヘイトスピーチを抑えこんでいた。事前周知、行政への働きかけ、街頭での抗議行動、カウンターデモなど一連の重層的な行動は、今後の地方都市でのヘイト抑えこみのモデルケースになりうるものだった。

(野間易通・CRAC、1月24日号)

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