橋下市長が辞職、出直し選挙へ――「私物化」と批判も
2014年2月18日5:24PM
大阪市の橋下徹市長は2月3日、大阪市内で会見し、「市長を辞めます」と表明した。各会派の反対で大阪都構想が行き詰まり、「民意に問う」もので、必然、出直し選挙となるが、「駄々っ子などのレベルではない。行政の私物化だ」との強い批判の声が上がる。
「二重行政の解消」を名目に府と市を統合する「大阪都構想」は大阪維新の核となる政策。同会は10月の住民投票を経て来年4月からの実施を目指し、四つの分割案から中央区と北区を特区とし大阪市を5分割する案への絞り込みを目指したが、1月31日に開かれた法定協議会では「選挙協力」など「貸し」のあった頼みの公明党が土壇場で反対に回り、都構想は完全に行き詰まった。ただ、自身の「慰安婦」発言(昨年5月)以降、同年9月の堺市長選では維新が推した候補が都構想に反対する現職に敗れ、維新の会の府議からも離脱者が出て府議会は過半数割れするなど窮地に陥っていた。
突然、賭けに出た形の出直し選挙について「橋下市長がつくった土俵には乗らない」として自民党、公明党、民主党、それに共産党も候補者を立てない構えだが、同市長は「協議会で反対するなら対立候補を立てて反対すればいいはず」と反論。「都構想の賛否を問う選挙ではない。市民に設計案を示させてもらうための選挙。賛否は住民投票で」と説明する。
一体、市民は都構想にどれだけの関心を持っているのか。選挙になれば山場を迎えていた市営地下鉄の民営化問題など多くの課題がストップする上、選挙費用には数億円がかかる。橋下氏は「そのくらいの金は民主主義には必要な費用」とするが、原発問題では「金がかかる」を理由に住民投票を拒否していた。めっきり落ちた維新の会の求心力とメディアの関心。自らに注目を集め、選挙という“ゲーム”を使ってかつての勢いを取り戻したいとの思惑が透ける。
(粟野仁雄・ジャーナリスト、2月7日号)