稲嶺・名護市長が特派員協会で会見――民意の否定は民主主義の否定
2014年3月5日4:54PM
「もし政府が辺野古移設を強行し、地元と県民らの声を否定したのなら、これは民主主義国の国民にとって受け入れるべき話ではない」。2月13日、日本外国特派員協会(東京・有楽町)に集まった大勢の海外メディアを前に、1月に再選されたばかりの稲嶺進・名護市長は明確にそう言いきった。
稲嶺市長は「米軍の新海兵隊基地建設は、軍事的な必要性というより、政治の便宜主義そして沖縄県民に対する構造的差別に基づいて決定されたもの」とし、1945年以降の沖縄の戦後の歴史が本州や他の地方といかに違う経緯をたどってきたのかを説明した。日米安全保障条約によって戦後、日本は経済的発展を経験したものの、その負担は沖縄県民に不平等に大きく課せられ、全米軍基地の74%が同県の島に集中。「同盟の有益性を一方が享受し続け、他の一方が一方的に負担を負わされているという現実は非常に納得がいかないし、合理的なものではない」と述べた。確かに、沖縄の米軍基地の根底にある本質的な問題は、日本が国民の意思によって統治される国なのか、東京そしてワシントンの政治的利権享受者が支配する国なのかにかかっているのだ。
稲嶺市長は外国人ジャーナリストらにこう訴えた。「どうか、もっと沖縄そして名護市に対して関心を寄せてください。これは全日本国民の問題。根底には民主主義の方向性がこれからどうなるかがかかっています。つまり沖縄問題は全世界の関心事でもあるのです」。
稲嶺市長は最後に「政府が最も恐れているのは、沖縄県民が置かれている状況への理解が普及し、私たち現地の声が他の日本人に聞き届けられることでしょう」と述べ、米軍基地を建設しようとする試みを安倍政権が実行すれば、国際社会がより注視し、世界中から非難を浴びることになるだろうと予測した。
(マイケル・ペン/日本外国特派員協会ジャーナリスト、訳/瀬川牧子、2月21日号)