ワタミ過労死裁判始まる――渡邉氏は出廷せず
2014年3月6日5:05PM
大手居酒屋チェーン「和民」の正社員だった森美菜さん(当時26歳)が2008年4月の入社から約2カ月後に過労自殺した問題で、遺族が(株)ワタミと当時社長だった渡邉美樹参議院議員らを相手取って起こした裁判の第一回口頭弁論が2月17日、東京地裁で開かれた。森さんの両親である豪さんと祐子さんが意見陳述を行なった。
法廷には遺族の支援者ら約70人が駆けつけた。他方、被告側は代理人弁護士のみで、2月4日の自民党の会合で過労死について、「一生の悔いであり、一生かけて償っていきたい」と発言したと報道された被告の渡邉議員は最後まで現れなかった。裁判後の報告集会では、傍聴者から「悔いや償いが真実の思いならば、なぜ渡邉議員は法廷に来ないのか。口先だけの謝罪だ」と批判の声が相次いだ。
意見陳述に立った豪さんは「営業時間が勤務時間だと言い、店舗勤務の最初から連日の長時間労働・時間外労働を強制し、休憩も休日も十分に与えませんでした。勤務時間外に強制的に購入させた渡邉氏の著書などに関するレポート提出、理念集の暗記テストなどを強制したほか、研修会やボランティア活動も、任意でなく強制しました」と過重労働を指摘した。
祐子さんは「娘をだまして就職させて、肉体的にも精神的にも追い詰めて、死に追いやったワタミを許すことはできません。ワタミ側から損害賠償額確定のための民事調停を申し立ててきましたが、安全配慮義務違反はない、当方に責任はない。が、金は払ってもよいという内容でした。そんな考え方では、これから先もまた同じことを繰り返すでしょう」と述べた。
ワタミ側は、裁判所に出した答弁書で「原告らの請求を棄却する」と記し、過労死の責任を全面的に否定し、争う構えだ。
第2回口頭弁論は3月27日(木)13時30分から東京地裁705号法廷で開かれる。
(須田光照・全国一般東京東部労組書記長、2月21日号)