狙いは日本全体の情報管理――安倍的NHKで集会
2014年3月10日5:03PM
NHKの籾井勝人会長が連日国会に呼ばれて質問攻めにされ、醜態をさらしている。こういう人事を行ない、大きな批判が巻き起こっていても平然と見ている安倍内閣の確信犯的な狙いも見抜いて対処していくことが重要だ。
2月22日、東京・渋谷区代々木区民会館でNHKのOB・OGが主な会員の「放送を語る会」が、「NHKの危機、今、何が必要か~籾井会長発言が問いかけるもの~」と題する緊急集会を開いた。参加を呼びかけるビラには、《NHKは安倍内閣の意向に沿う経営委員の任命や今回の籾井発言などで、公共放送としての存立の危機にあります。この状況に私たちはどう立ち向かったらいいのか、メディアに詳しい識者の方々のご意見を基に討論を深めます》とある。当日の識者は、池田恵理子(元NHKディレクター、wam館長)、小田桐誠(ジャーナリスト)、醍醐聡(東大名誉教授、NHKを監視・激励する視聴者コミュニティー共同代表)、田島泰彦(上智大学教授)、松田浩(メディア研究者)。ここでは田島教授の次のような見識を紹介しておきたい。
「(これまでは)外部からの政治家の圧力や介入があって、それに経営幹部や編集幹部などが迎合していく。その中で現場が萎縮していくという構図でした。しかし今は、より積極的に権力に迎合し、それを支える報道や番組、世論作りといった価値観を共有して進める組織にするという段階に至っています。その一番手近なやり方として、組織のトップに対する人的な送り込みをやり始めたということ。これは“安倍的なNHK支配”にとどまらず、日本全体の情報や表現について同じように大掛かりなかたちで改変を進めようとしているように思います」
重大で危険な段階に差し掛かっている。このような悪質な権力の野望を潰すために、まずNHKの危機を突破しなければならない。醍醐名誉教授は、会長公選制を求める国民運動などを提案した。
(丸山昇・ジャーナリスト、2月28日号)