元法大生5人の無罪確定――看板破壊の嫌疑払拭
2014年3月27日5:25PM
入構禁止を告げた看板12枚を共謀のうえ壊したとして暴力行為等処罰に関する法律(暴処法)違反の罪で逮捕・起訴された増井真琴氏ら元法政大学生5人に対する控訴審判決が去る2月12日、東京高裁であった。井上弘通裁判長は「(看板の)損壊行為に及んだとするには立証が不十分」として一審に続き無罪を言い渡した。検察側は上告せず、無罪は確定した。
法政大(増田壽男総長)は数年来、学生自治への干渉を強めてきた。「ジャージ部隊」と呼ばれる民間警備員を投入して学内集会を暴力的に排除したり、警察を介入させて逮捕を乱発させた。逮捕者は2006年以降で延べ120人を超え、起訴されたのは33人を数える。増井氏らの逮捕・起訴は一連の学生弾圧の一環とみられ、大学と警察の連携で罪が捏造された疑いは濃厚だ。
起訴状によれば、増井氏ら5人は09年2月19日午前零時すぎ、法政大市ヶ谷キャンパスの出入り口数カ所に設置されていた看板12枚を共謀して壊したとされる。増井氏らは無罪を主張。看板は、当時学費の支払いが難しくなったために除籍処分を受けていた増井氏に対して大学側が名指しで入構禁止を告げた異例のものだった。
判決は、唯一の物証とされる防犯ビデオ映像について、画質が悪い上に死角があり、犯行の裏付けとはならないと判断。また、検察が証拠とした学生の供述調書も信用に足らないとした。この学生は警察に連行され、20時間近くも事実上の拘束を受けて意に反する供述を取られたという。
増井氏は訴える。「大学なのに、政治的表現の自由が圧殺されている。嫌がらせのように名指しで入構禁止の看板を出したこと、公安警察を使って学生を逮捕・起訴させたことについて謝ってほしい」。
取材に対し、総長室広報課は、「犯人が法に照らして適正に処罰されることを望む。本学は被害者であり、(謝罪など)何らの対応を行う立場にない」としている。
(三宅勝久・ジャーナリスト、3月14日号)