原発立地自治体住民連合が質問状――再稼働は事故前提か
2014年4月9日5:09PM
原子力規制庁が「新規制基準を満たした原発でも事故は起きる」と認めていたことが3月24日、東京・永田町の参議院議員会館で開かれた「原発立地自治体住民連合」の院内集会で明らかにされた。安倍晋三首相は3月10日の会見で、「原子力規制委員会の世界で最も厳しいレベルの規制基準に基づき徹底的な審査を行ない、適合すると認められた原発は再稼働を進める」と強調したが、原子力規制庁は事故が起こることを前提としており、反発がいっそう強まりそうだ。
同集会で発表した北海道電力・泊原発の地元、岩内町議会議員の佐藤英行さんによると、再稼働阻止全国ネットワーク主催で行なわれた原子力規制庁との交渉(1月20日)で担当者は、「規制庁の役割は審査することであり、審査結果と審査過程を国民にていねいに説明していくまでで、地元了解をとることはしません」「地元への『説明』と『了解』は切り離すというのが政治的判断。放射能の拡散シミュレーション・モデルにも限界があります。その結果、(再稼働を)どうするかは自治体と住民、および事業者で判断してください」と述べたという。
原発立地自治体住民連合は、原発が建つ13の道県の住民グループで構成。147人の自治体議員が参加している(3月24日現在)。
集会では9自治体議員がさまざまな問題点を報告、日本政府に公開質問状を提出した。内容は「いかなる科学技術的根拠をもって、原発事故は100%起こらない、ということを原発立地自治体の住民に保証するのか、それとも規制庁がいうように保証できないまま再稼働するつもりなのか、明確に答えよ」など7項目で、1週間以内の回答を求めている。
司会を務めた作家の広瀬隆さんは「事故は起こると言って再稼働に許可を出そうとしている規制庁は無責任。こんなデタラメを許してはいけない」と憤っている。
(伊田浩之・編集部、3月28日号)