住民の反対無視する江ノ電の「安全理論」――津波避難路を強行工事で閉鎖
2014年4月23日5:28PM
桜満開の3月31日。神奈川県を走る江ノ島電鉄(江ノ電)によって、住民の
生活道路であり、「稲村ケ崎津波避難路」でもある稲村ヶ崎駅(鎌倉市)付近
の線路横断路が、強行工事で閉じられた。
ことの始まりは2月21日。「線路横断箇所」の入り口に突然、「通路閉鎖工
事」を知らせる一枚のお知らせが貼られた。住民が60年にわたって使ってきた
道路だ。
江ノ電は成り立ちが路面電車だったため、線路をまたがないと家に入れない
住民も多くいる。単線で、12分に一本。電車が通ったあとは安全に、人も猫も
渡れる。100年続いた鎌倉の特殊事情だ。
その歴史をかなぐり捨てて、「安全対策」という名目でフェンスを張り巡ら
し「自社の土地だから工事する」というのだ。住民への説明会では「安全理
論」を振りかざし、住民の声は「問答無用」。「工事に入ります」の一点張り
だった。
海側住民からの「1秒が生死を分ける津波時に、山に逃げる一番の近道を、
フェンスで閉ざさないで」との声にも、「住民の非常時の安全より(江ノ電
の)日々の安全」と言って無視した。日常生活が一変する重大事項であること
から、江ノ電の強行工事中止を求める署名は、3週間で300筆を超えた。しか
し、工事は強行された。
長嶋竜弘鎌倉市議会議員は、「私は安全対策工事をすることは否定しません
が、なぜ住民を無視して工事をするのか疑問です。トラブルになる話ではない
のに、江ノ電さん一体どうしたのでしょうか? 今後同様に住民無視で強引
に工事をやれば必ずトラブルになります。そうならないようにするためにも、
今回の件については強く是正を求めます」とブログに綴った。
「地元住民に支えられ100年続いた江ノ電が、今住民を切り捨てた。今後、住
民無視で100年続くのか」と、住民女性は憤る。
今後、まだ164カ所の道路閉鎖が予定されているという。
(きゆなはれる・避難路を守る会、4月11日号)