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原電が東海第二原発の適合審査――住民説明なく申請

2014年6月13日6:32PM

審査申請したことを語る増田博原電副社長。原子力規制委会見室。(撮影/中村ゆうき)

審査申請したことを語る増田博原電副社長。原子力規制委会見室。(撮影/中村ゆうき)

東海第二原発(茨城県東海村)の再稼働に向け、日本原子力発電株式会社(原電)は5月20日、原子力規制委員会に適合審査を申請した。増田博副社長は会見で「全社をあげて審査に対応していきたい」としたが、課題は山積する。

改正原子炉等規制法で定められる原発の運転期間は原則40年。東海第二は36年が経過しており、申請中の原発では最古だ。新規制基準の対策工事終了も最短で2016年6月とされるが、運転の期間延長について増田副社長は「答える段階にない」とのみ言及する。

電気ケーブルは新基準で火災対策が義務づけられる。だが、同社の構想は難燃性ケーブルとの取り替えではなく、耐火材カバー取り付けや防火塗料の塗布にとどまる。

首都圏唯一の同原発で事故が発生した場合、周囲30キロメートルの避難対象者は98万人にのぼる。しかし、具体的な避難計画も自治体側は整備できていない。

原電は電力9社が出資する原発専門の発電会社で、各地に4基を所有する。敦賀原発(福井県)は1号機が40年を超えており、同2号機は直下に活断層の存在が判明。東海原発(東海村)も廃炉作業を進めている。原電にとって東海第二は何としても再稼働したい原発といえるが、その取り組みには現地内外からの反発がある。

原電と地元11市町村首長は今年3月5日、異例の「覚書」を締結した。ここでは「原電の考え方を誠意をもって十分に説明する」との項目も盛り込まれたが、増田副社長は会見で、「効率的な情報公開の一環としてこれから考えていく」とのみ言及。4月25日も脱原発を訴える市民グループが事前に説明会を開催するよう山本直人常務取締役へ申し入れているが、これも反映はされていない。

5月20日当日は、「地元の危機感が伝わっていない」として、同本社ビル(千代田区)の前で市民による抗議行動が行なわれた。

(中村ゆうき・フリーライター、5月30日号)

 

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