学校事故・事件を語る神戸集会――隠蔽体質の改善を!
2014年6月17日6:21PM
「全国学校事故・事件を考える会」(代表世話人・内海千春他)の全国集会が5月31日と6月1日の両日、兵庫県神戸市内で開かれた。
「学校事故・事件の事後対応の過去・現在・未来」と題する2日目のシンポジウムでは、第三者委員会の意義が話題に。大津市立皇子山中学のいじめ自殺事件(2012年)で第三者委の委員を務めた渡部吉泰弁護士は、基調講演で「事務局は学校側の組織。校長はあらゆる地域行事に出席しPTAなど学校に都合のよいネットワークを作り、組織防衛のための隠蔽に走る。被害家族は学校から疎外され地域で孤立する」と指摘。「第三者委員会で言う事実という言葉は、責任を問うための裁判上の事実とは異なる。第三者委員会は裁判ではないが、その後の裁判に好影響を与えることもある」とした。
山形県立高畠高校で06年、当時2年生だった渋谷美穂さんは生徒らのいじめを苦に自死。1年後に実名公表した父親の登喜男さんは、「クラスの子のいじめの言葉を学校側は『お嬢さんの勘違い』などと言った。校長はマスコミと接触しないことを求め、県教委は『マスコミに安易な発言をするな』としながら自分たちを正当化する記者会見をした」と、打ち明ける。
兵庫県龍野(現、たつの)市で94年、小学校6年生(当時)の息子が担任の暴力を苦に自死。13年春にようやく市教委に「自殺」と認めさせた教員の内海代表は、「以前は遺書がなければすべて事故にされた」という。「学校はカウンセラーを通じて他の生徒の動揺などを口実に調査させず沈静化を図る」として、「第三者委では『家族にも原因がある』などとする専門家もいるが、家族になり代わり闘う気持ちのある委員にしてほしい」と訴えた。「年間、小中高生が300人も自殺しているがマスコミに取り上げられるのはほんの一部。事実を調査させず隠蔽する根本の流れは変わっていない」(内海代表)。
(粟野仁雄・ジャーナリスト、6月6日号)