核のゴミ押しつける「中間貯蔵施設」計画――説明会で地元住民が反発
2014年6月26日6:35PM
「国は住民を馬鹿にしている。地元住民を無視した形で国が中間貯蔵施設の建設を一方的に決めるなら、何のための説明会か」
福島県大熊町からいわき市に避難している猪狩松一さん(67歳)は憤懣やるかたない様子で語った。
猪狩さんは6月1日にいわき市文化センターで、「中間貯蔵施設」建設計画の説明会に参加。同県双葉・大熊両町の福島第一原発(東京電力)周辺に除染などの廃棄物を貯蔵する施設だが、説明会は時間も短く、住民の疑問にこたえていなかった。県内外で同様の説明会が開催されているが、会場では不満の声が爆発する。
計画では総面積を16平方キロメートルと設定。減容化(焼却)、貯蔵などの施設が整備され、最大で約2200万立方メートル(東京ドームの18倍ほど)の汚染土壌や焼却灰が約30年間貯蔵されるという。国側は、あくまでも「中間」貯蔵施設であり、「30年以内には福島県外で最終処分する」としているが、その最終処分場がどこになるのかは未定だ。「最終処分場を決めてから中間貯蔵施設に着手すべき」「トイレなきマンション化」「なし崩しの最終処分場化」を危惧する声が住民から上がる。
国側の代償は用地買収による「損失補償」で、買収価格は「個別に評価・算定する」という。これについては「地権者とそうでない人と、地域を二分する」「住民の意見が反映されないなら計画を白紙に戻すべき」といった意見がある。町や町議会は態度を明らかにしておらず、住民の心は揺れる。
計画では「施設への廃棄物搬入は来年1月開始」とされており、稼働は間近だ。福島では除染を求める「中通り」とその廃棄物を引き受ける「浜通り・原発立地町」の県民で、利害対立する恐れもある。環境省は「施設がないと福島県全体の除染、復興が進まない」の一点張りだが、住民不在のままの「復興」路線には懸念が高まる。
(藍原寛子・ジャーナリスト、6月13日号)