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集団的自衛権行使の容認に反対の声高まる――安倍首相の暴走を止めよう!
2014年7月1日10:57AM
市民団体や労組で構成する「戦争をさせない1000人委員会」は6月12日、集団的自衛権行使容認に向けた憲法解釈の変更を阻止しようと、東京・日比谷野外音楽堂で抗議集会を開いた。
約3000人が参加した集会の冒頭、同委員会の発起人でルポライターの鎌田慧氏があいさつ。「首相は戦後の民主主義も平和もすべて破壊しようとしている」と批判し、国民が反撃に立ち上がるよう訴えた。民主、社民、生活、共産の各党代表からあいさつを受けた後、作家の大江健三郎氏が登壇。
「平和と民主主義の戦後を首相は『最悪のレジーム』と呼び、『戦前のレジーム』に戻そうと狙っている。だから憲法を踏みにじり、集団的自衛権行使を閣議決定しようとしているが、憲法を守ることこそ『未来のレジーム』を作り出すのにつながる」と強調した。
また、「戦争反対に反対するいわれはないので出てきた」と壇上に立った俳優の菅原文太氏は、父親が40歳で徴兵され、やはり徴兵されたその弟が消息不明になったという体験を告白。「もし戦争が始まったら。皆さん、命を懸けましょう。一緒に戦争反対の気持ちを持ちながら、一緒に闘い続けましょう」と呼びかけ、拍手を浴びた。
作家で、本誌編集委員の落合恵子氏は「1945年という戦争の時代に生まれた最後の世代として、幼い頃には傷痍軍人の姿を見たり、尋ね人の消息の連絡を呼びかけるラジオ放送を聞いたりして育った。そうした時代を生きた一人として、戦争には絶対反対する」とした。
参加者は集会後、国会周辺を取り巻き、「安倍首相の暴走を止めよう」などと声をあげた。
この日の集会に先立って、内田雅敏弁護士(同委員会事務局長)らが、今春から全国で集めた集団的自衛権行使容認に反対する「戦争をさせない全国署名」約175万筆を衆参両院に提出している。
受け取った赤松広隆衆院副議長と輿石東参院副議長は共に「署名に込められた国民の声を国会に反映させたい」としたが、首相官邸は署名の受け取りを拒否。内田事務局長は集会で、「安倍首相はお友達の意見ばかり聞いて、国民の声を聞かないのか」と批判した。
【全国であがる反対の声】
各地でも集団的自衛権行使と解釈改憲に対する反対の声は高まっている。これまで約60の市町村議会が集団的自衛権行使容認の反対を表明した意見書を国会に提出。同趣旨に基づいて、6月15日には全国215人の民主党や無党派等の地方議員が参加する「自治体議員立憲ネットワーク」(共同代表、角倉邦良・群馬県議ら5人)の設立集会が東京都内で開催された。席上、角倉議員は「住民と身近に接する地方議員こそ平和を守る運動の先頭にたち、解釈改憲で集団的自衛権を合憲化する閣議決定を阻止しよう」とあいさつ。今後、地方議会での反対決議採択を拡大し、来春の統一地方選挙で連携できる議員を増やしていくという。
日本弁護士連合会(日弁連、村越進会長)も5月の定期総会で、「集団的自衛権の行使容認に反対する決議」を採択し、『集団的自衛権。それは、外国のために戦争をすること』と題する無料パンフレットをこのほど発行した。青井未帆学習院大学教授や柳澤協二元内閣官房副長官ら8人のメッセージからなり、「論点がわかりやすい」と好評だ。46にのぼる加盟弁護士会・連合会会長声明や決議による反対表明も相次ぐ。
真宗大谷派の最高議決機関である宗議会・常会も6月10日、集団的自衛権の行使容認に対し「深い悲しみと大きな危惧を覚え、強く反対の意思を表明する」との決議文を全会一致で採択している。
(成澤宗男・編集部、6月20日号)
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