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政治的思惑が交錯した平和宣言――戦後69年、沖縄で慰霊の日

2014年7月11日11:37AM

「慰霊の日」で亡き母の名前を探す遺族。糸満市摩文仁の平和祈念公園。(撮影/本誌取材班)

「慰霊の日」で亡き母の名前を探す遺族。糸満市摩文仁の平和祈念公園。(撮影/本誌取材班)

沖縄県は6月23日、太平洋戦争末期の地上戦で犠牲となった20万人以上の戦没者を悼む「慰霊の日」(県内限定の公休日)を迎えた。戦後69年の今年も糸満市摩文仁の平和祈念公園では「沖縄全戦没者追悼式」(県主催)が開かれ、遺族を含む関係者4600人(主催者発表)が参列。しかし、この人数は昨年の参列者5800人を下回るもの。背景には、戦争体験者の高齢化のほか、米軍基地問題や、集団的自衛権の行使容認に対する県民の、政府や県政への根強い反発があった。

今回の追悼式については前日から、仲井眞弘多県知事が「平和宣言」をどう読み上げるかに注目が集まっていた。これまで3年連続で原稿に盛り込まれた「県外移設」の文言を、「削除するのではないか」との懸念が高まっていたからだ。

仲井眞知事が読み上げた原稿は、「普天間の機能を削減し、県外への移設をはじめとするあらゆる方策を講じて、喫緊の課題を解決するために、全力を注がなければなりません。そのために、私は普天間飛行場の5年以内の運用停止を求めているのです」となった。

しかし、仲井眞知事は県議会開会前日の6月19日、知事公舎で「県外移設」削除の旨を与党県議らへ説明していた。強気ともとれる知事の意向には、自民党沖縄県連の役員などを務める県議ほか、複数の関係者からも異論が出た。

「県外移設削除騒動」の裏側には、今年9月に迫る沖縄県の統一地方選挙、つづく県知事選(11月16日投開票)へ向けて、公明党沖縄県本部の支持と支援を取り付けたいという与党側の思惑が見え隠れする。結果として、仲井眞知事による追悼式での「平和宣言」は極めて政治的なものとなり、県民は冷ややかな視線を送った。

式典の前日まで宣言の文案自体が決まらない異常事態は、仲井眞知事の軸足がどこにおかれているのかを、あらめて鮮明にさせた。

(本誌取材班、6月27日号)

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