ヘイトスピーチなんかいらない! 1500人がパレード――大阪に鳴り響いた「反差別」
2014年8月7日11:41AM
「ヘイトスピーチ、そんなものは大阪の街にいらない。人種差別のないストリートにしよう!」
7月20日、3連休中の大阪市内にサウンドカー、ダンスチーム、朝鮮王朝楽団などからなる賑やかな隊列が現れ、通行人の目を引いた。隊の名は「仲良くしようぜパレード2014」。大阪での開催は今年2回目だ。この日は約2時間かけ市内を練り歩いた。ゴール後、参加者からは口々に「楽しかった」という言葉が飛び出した。
兵庫県在住の船越典子さん(46歳・会社員)は反原発デモなどへの参加経験がある。デモを支える空気は怒りだが、船越さんは「“仲パレ”はみんなニコニコしていて幸せな気分になれるのがいい」という。愛知県から来た李炯麒さん(29歳・会社員)も同志と共に歩く喜びを感じた一方、今後は「どうして国内で人種差別的な思想をもつ人たちが増えたかにも目を向けたい。日頃差別表現が目につきやすいのはネット。在日の子どもが見ないで済むようにしたい」と語った。ネット上で差別的な書き込みを見るのは「限界だった」という北田暁大さん(42歳・社会学者)も東京から駆け付けた。ただ、自身の研究や論文発表だけでできることへの限界も感じていたという。参加してみて「これだけ多くの人と感情を共有できて元気がでた。いろんな思想をもつ人たちが『反差別』という1点で集まれるのは素晴らしい」。
運営スタッフの一人(35歳・会社員)は、以前エイズ予防啓発プログラム運営にかかわった経験を活かし、資料や横断幕制作を手がけた。横断幕の文言は抗議活動にかかわる学生が考え、ホームページには各地域の出身者がその土地の方言で紹介文を寄稿。「できるだけいろんな人を巻き込みたかった」と話す。最終的に参加者は昨年の倍を上回る約1500人(主催者発表)という盛況ぶり。別のスタッフ(33歳・大学院生)はこう漏らした。「昨年以降、街頭での抗議参加者は増えた。状況は確実に変わっている」。
(松岡瑛理・大学院生、ライター、7月25日号)