政調費で靖国参拝の杉並区議――国連報告を“曲解”
2014年8月20日5:47PM
国連自由権規約委員会は7月24日、「従軍慰安婦」の責任逃れをはかる日本政府を批判する見解を出した。これに対して東京都杉並区の吉田あい区議会議員(自民)が、同委員会が日本政府を擁護しているかのように「曲解」し、公表していることがわかった。
「慰安婦」問題に関する同委員会の最終見解はこうだ。
〈締約国(日本)は、慰安所の女性に関する「募集、移送及び管理」は、軍又は軍の協力者により、脅迫的・強圧的に、総じて本人たちの意に反して行なわれた事例が数多くあったとしているが、一方で軍による「強制連行」はなかったと述べるなど矛盾した立場をとっている。委員会はこれに懸念を表明する。被害者の意思に反して行なわれたそうした行為は、いかなるものであれ、法的責任を伴う人権侵害とみなすのに十分であると委員会は考える〉(筆者抄訳)
「強制」の否定は「矛盾」した態度だとして、戦時中の重大な人権蹂躙について日本政府は責任を取るように迫っている。ところが、吉田議員の7月25日のブログではまったく違う話になっている。
〈今日の産経新聞によると、国連の日本の人権状況に関する審査の最終見解が公表され、「慰安婦」に関する矛盾が指摘されました。
強制連行を示す資料が発見されていないにもかかわらず、河野談話が慰安婦の強制性を認めたことが矛盾している…と言うのです〉
7月24、25日の『産経新聞』を確認したが、記事中に吉田氏が指摘するような文脈はなかった。
吉田議員は2012年8月15日、政務調査費で靖国神社を「タクシー参拝」したほか、靖国を参拝しない閣僚は日本から出て行ってほしい――という趣旨のことも公言している(本誌8月1日号)。国連委の報告を読んだのか、または報告を伝えた記事を正確に読んだのか――吉田議員に質問したが締め切りまでに回答はなかった。
(三宅勝久・ジャーナリスト、8月8日号)