過労死防止法制定に尽力――森岡名誉教授が受賞
2014年9月1日6:25PM
過労死や過労自殺の根絶のために活動する団体・個人を顕彰する「過労死をなくそう!龍基金」中島富雄賞の第8回授賞式が8月10日、東京・かつしかシンフォニーヒルズで開かれ、6月20日に成立した過労死防止法(過労死等防止対策推進法)の制定運動に取り組んだ過労死防止基本法制定実行委員会委員長で、関西大学名誉教授の森岡孝二さん(70歳)に賞が贈られた。遺族として国会で意見陳述を行なった「全国過労死を考える家族の会」代表の寺西笑子さん、同会東京代表の中原のり子さんらとともに受賞を喜び合った。
同基金は、(株)すかいらーくに勤務中の2004年8月に過労死した中島富雄さんの遺志を継いで設立。妻で代表の中島晴香さんは「過労死防止法が制定される一方、安倍政権は『残業代ゼロ法案』を通そうとしている。もっと人にやさしい社会を」と挨拶した。
森岡さんは受賞講演の中で、初めて「過労死」の用語が使われた1975年以降、「ストライキをやらなくなった労働運動と過労死の増加は重なり合っている」と述べ、過労死の社会問題化と運動の歴史を紹介。過労死防止基本法制定実行委員会の設立(11年11月)から法制定に至るまでの100万人署名(55万人を達成)、全国121地方議会での意見書採択などの取り組みを挙げ、「日本の社会運動が議員と国会を動かして作った労働分野での最初の法律だ」と評価した。実行委は今月解散し、新たに「過労死防止センター」に生まれ変わる。「この法律の実効的な運用のため多くの方と手を携えていきたい」と結んだ。
授賞式ではまた、ワタミ過労死遺族の森豪・祐子さん夫妻が、当時社長だった渡邉美樹・自民党参議院議員らを訴えた裁判の現状を報告。ヘイト・スピーチと闘う「のりこえねっと」共同代表の辛淑玉さんが「生きる権利を守る」と題して講演した。
(片岡伸行・編集部、8月22日号)