兵庫県で実施された“防災”訓練――初の米軍参加に市民は反発
2014年9月18日11:40AM
「防災に名を借りているが、これは住民を巻き込んでの合同軍事演習にほかならない」――米軍基地のない府県では全国初となる“米軍参加の防災訓練”が8月31日、兵庫県芦屋市の南芦屋浜フリーゾーンで実施された。米軍参加は兵庫県が要請したものだが、主人公である阪神間の7市1町に事前の相談はなかったという。
演習当日、騒音をまき散らす垂直離着陸“欠陥”輸送機「オスプレイ」の姿はなく、神奈川県の米軍キャンプ座間から、攻撃ヘリ「ブラックホーク」が飛来した。
7月1日に閣議決定した集団的自衛権の行使容認を前提に、自衛隊と米軍との連携・機能強化を印象づけた格好だ。
今回の演習は「これまでの防災訓練のあり方・性格を大きく変えてしまう重大な問題」であるとして、反発する市民が実行委員会を結成、二日間にわたる抗議行動を繰り広げた。演習前日の30日は、阪神電気鉄道「芦屋」駅近くの宮塚公園に約350人が結集し、集会やデモ行進などを通じてこの問題をアピールした。抗議は31日も演習地近くで行なわれ、多くの市民が参加した。
大阪在住の男性は「今秋10月の和歌山県での防災訓練には米軍のオスプレイが参加する」と言い、「11月の東北6県での訓練にはオスプレイだけでなくオーストラリア軍も加わる」と指摘した。
また、京丹後市(京都府)で北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)や中国を意識した米軍のXバンドレーダー基地建設が進んでいることについて、抗議に駆けつけた京都在住の女性は、「年内に運用開始というが、集団的自衛権に結びつく米軍基地は不要」と批判した。
東日本大震災(2011年)の「トモダチ作戦」以降、“防災訓練”名目での日米合同演習が各地で増加している。両政府の狙いは米軍の活動を全国展開することにあり、「本土の沖縄化」が懸念される。
(たどころあきはる・ジャーナリスト、9月5日号)