自民党の相乗り、抱きつきでドタバタ劇――福島の知事選は「県民不在」
2014年10月1日10:36AM
告示まで1カ月を切った福島の県知事選挙だが、自民党内では候補者の選定をめぐりドタバタ劇が続いている。
以前から同党本部は「原発再稼働」を最優先に位置づけているが、県連側は「県内原発全基廃炉」を主張してきた。自民党の福島県連は今回、独自の候補者として、鉢村健氏(元日銀福島支店長・55歳)の推薦を決定した。だが、同党本部は「鉢村氏では幅広い支持(を得るのは)は厳しい」(茂木敏充選対委員長)として、民主、社民、公明の各党や県町村会が推す内堀雅雄氏(元副知事・50歳)への相乗りを決定した。
9月14、15日には茂木選対委員長らの出席のもと、県連支部長・幹事長会議、県連総務会、役員会などが福島市で相次いで開かれた。党本部と県連側の“分裂危機”の幕引きをはかるためだ。
しかし、「相乗りではなく独自候補で堂々と戦うべき」「党本部から有力な独自候補者を出せ」などと県連側からは不満が噴出。佐藤憲保県議団長によると、今回の“相乗り”には県連各支部に「お叱りの電話が殺到」しているという。
そもそも、内堀氏は初出馬の時に民主党が擁立した佐藤雄平知事の後継であると自身をアピールしていた。また、自民党からの推薦受諾にも明確な姿勢を出していない。鉢村氏の引き回しを終えた後に出馬断念の憂き目を見た衆院3区の役員は、「(内堀氏の応援は)やれないし、やらないね」と吐き捨てた。
県議会全会一致の「県内原発全基廃炉」を内堀氏が連呼するほど、自民党本部の「原発再稼働」との矛盾はさらに際立つ。
このほか立候補を予定している元岩手県宮古市長の熊坂義裕氏(62歳)=新党改革・支持=は、郡部を中心に細かに支持を広げる活動を進めている。自営業の五十嵐義隆氏(36歳)も、出馬を表明している。
(藍原寛子・ジャーナリスト、9月19日号)