袴田事件に「証拠隠し」疑惑、支援者が検察に抗議
2014年10月2日1:45PM
死刑確定後、今年3月に再審開始の決定が出た「袴田事件」で、検察側が「証拠隠し」をしていた疑惑が浮上し、袴田巖さん(78歳)を支援する8団体が9月9日、東京高検に抗議した。
証拠隠しが疑われているのは、静岡地裁が捏造の疑いを指摘した「5点の衣類」を1967年の発見直後に撮影したカラー写真のネガ。写真は、衣類が長期間味噌に漬かっていたのではないことを示す重要な証拠になったが、検察は「ネガは存在しない」と回答してきた。ところが、高検は7月に東京高裁に提出した即時抗告の申立理由補充書で「発見」の事実を明かし、「地裁決定後に警察で見つかった」と説明した。
抗議文は、ネガ発見の経緯が「世間の常識に照らせば極めて不自然」で、高検の説明通りだとしても「杜撰な証拠管理の責任は重大」と強調した。他の証拠の存在確認や、検察が所持する証拠のリスト開示なども求めている。
抗議の翌日、東京高検は約90コマのネガを東京高裁に提出。「カラー写真の色合いは衣類の実物と違う」と主張しており、プリントの方法が焦点になる。
6月末から浜松市で姉と暮らす袴田さんは、8月末に肺炎で倒れ入院中だ。胆嚢炎の手術を受け、心臓の治療もしている。23日には東京・文京区民センターで支援集会が開かれる。
(小石勝朗・ジャーナリスト、9月19日号)