高知県・高知県教委――廃炉をめざしたら、後援拒否
2014年10月6日10:36AM
高知市内の市民団体「グリーン市民ネットワーク高知」が主催する「被曝のリスクを考える講演会シリーズ」の後援を、高知県と高知県教育委員会が拒否した。
これは福島第一原発事故で危険性が高まった被曝について確かな情報を共有し、暮らしに役立てようと企画されたもので、10月中旬から来年2月にかけて高知市や四万十市で開催される6回の連続イベント。放射能の研究者、崎山比早子氏や北海道がんセンター名誉院長の西尾正道氏ら、被曝問題に詳しい医師や医学博士4人が登壇の予定だ。「グリーン市民ネットワーク高知」は今回、高知市と高知市教育委員にも後援を依頼したが、市と市教委はこれを受け入れた。県と県教委が後援を拒否した理由は、主催する団体の規約にある「原発廃炉をめざす」という文言が政治的だからだという。
高知県知事の尾崎正直氏は「再稼働がやむを得ないこともありうる」という立場を表明している。その意をくむ知事部局危機管理防災課の担当者は、「原発についてはいろんな意見があり、特定の方向に沿うものは後援できない」と回答してきた。
県の衛生研究所は、マーシャル諸島での米国水爆実験以降、とくに高知県に放射性物質の降下が多かったので、土壌や食品の放射線測定を長年、続けてきた。被曝のリスクを知り語り合う企画は、「県の保健行政に寄与」し「公益性」も高いはずなのだが。
一方、県教委の担当者は、後援拒否の理由として「中立の立場」を強調する。だが、同県教委は昨年2月に行なわれた「人類は様々な放射線と今後も付き合っていく必要がある」とする高知工科大学主催の「環境・放射線セミナー」については、文部科学省や原子力発電環境整備機構(NUMO)と並んで後援した経緯がある。これで「中立」とする県教委の見識を問いたいものだ。
(外京ゆり・同市民団体共同代表、9月26日号)