子宮頸がん予防ワクチンの副反応めぐる実態――「厚労省は過小評価」と指摘も
2014年10月7日11:05AM
接種勧奨再開の是非が問われている子宮頸がん予防ワクチン(HPVワクチン)について、厚生労働省とWHO(世界保健機関)は副反応の実態を過小評価しているとする報告が2学会で相次いだ。
日本線維筋痛症学会(9月13~14日)では、難病治療研究振興財団(元厚労大臣で公明党の坂口力理事長)の研究班(西岡久寿樹東京医科大学医学総合研究所長ら)が、国に副反応があったと報告された約2500人を検討。重篤な副反応を厚労省は176人としているが、同班は6倍以上の1112人に上ると報告した。
過小評価となったのは、厚労省が同研究班の「重篤な副反応」の3割を占める中枢神経症状(記憶障害、失神、けいれんなど)、次いで多い視覚などの感覚器症状を除外しているほか、接種後30日を超える発症は因果関係を認めていないため。同研究班は、過小評価の原因を解消した「HANS(HPVワクチン関連神経免疫異常症候群)診断予備基準」を提案した。
また、日本社会薬学会(同14~15日)では、片平洌彦新潟医療福祉大学大学院特任教授らが海外で副反応被害報告が相次いでおり、「懸念事項は示されていない」としたWHO声明(13年6月)の妥当性に疑問を投げかけた。
海外の市民団体や政府機関のウェブサイトによると、死亡を含む副反応被害を受けたとして訴訟が起きているのは米国、フランス、オーストラリア、カナダ、インド、スペイン。米国では8月現在、71人が国のワクチン被害補償プログラムによる補償認定を受けている。ニュージーランドでは5%の学校が情報不足や宗教を理由に、集団接種を拒否している。
片平教授は「公的な補助は、有効性・安全性が未確立のHPVワクチンよりも、感度100%とも言われる細胞診とHPV‐DNA検査併用検診に投入する方がはるかに合理的」と話している。
(太田美智子・ライター、9月26日号)