川内再稼働に反対する「さようなら原発全国大集会」――「原発は安価」のウソも追及
2014年10月15日12:02PM
さようなら原発全国大集会が9月23日、東京・亀戸中央公園で開かれた。デング熱問題のため、当初予定していた東京・代々木公園から会場を変更し、主催も当初予定の3団体ではなく「さようなら原発1千万署名市民の会・1000万人アクション」だけとなったが、約1万6000人(主催者発表)が参加。参加者が1万人を超える集会・パレードは久しぶりで、鹿児島・川内原発(九州電力)の再稼働に反対する声の大きさを印象づけた。
集会では、作家の大江健三郎さんが「原発反対の声は弱くなっていない」と指摘。作家の落合恵子さん(本誌編集委員)は「この夏も全国の原発が稼働しなくても問題なかった」ことを再確認した。作家の広瀬隆さんは、あらゆる面で原発反対側が勝っている、政府・原子力ムラ側が追い詰められている、と強調した。
広瀬さんによると、「原発は安価」というウソが8月にごまかしきれなくなり、政府が原発支援策に乗り出した。電力小売りの全面自由化が2年後に迫っているためで、原発に依存してきた電力各社は経営破綻の崖っぷちに立たされている。だから、来年に川内原発、その次には高浜原発(関西電力)の再稼働を狙っている。経済産業省は、2013年度に沖縄電力を除く電力9社が支払う燃料費が東日本大震災前と比べて3兆6000億円増えると試算しているが、そのうちの2兆円以上は円安などが原因で原発稼働ゼロとは関係がない。しかも、停止している原発の維持管理費(電力を使った核燃料の冷却費)に九州電力は約825億円、電力会社全体では約1兆2000億円を使っているという。
たとえば、北海道電力は、東京電力福島第一原発事故後に料金を上げた電力7社のうち、はじめて今年7月に再値上げを申請した。値上げ幅は家庭向けが平均17%、国の認可の要らない企業向けは22%超。申請通りの値上げになれば、家庭用のモデル電気料金は昨年の値上げ前に比べ26%の負担増になる。だが、再稼働しなければ電気料金を上げねばならないという「言い訳」は理解を得られず、北海道新聞社が7月に行なった世論調査では、泊原発再稼働に66%が「反対」と答え、「賛成」を大きく上回っている。
広瀬さんは「値上げ幅は腰が抜けるトンデモない数字なので、北海道中で反対の声が起こっている。電力会社は値上げもできない、どうしようもないところまで追い込まれている。再稼働反対の闘いはゲリラ戦。原発が立地する現地で反対の声を結集すればみんな勝てます。(次の大事故で)むざむざ殺されてたまるか。再稼働を絶対に止めましょう」と強調した。
(伊田浩之・編集部、10月3日号)