太田大臣が工事実施計画認可――問題多いリニア計画
まさのあつこ|2014年11月6日10:31AM
太田昭宏国土交通大臣は10月17日、JR東海が申請したリニア中央新幹線(品川―名古屋間、総事業費5兆5235億円)の工事実施計画を認可した。
同日午後、「自治体首長や沿線住民の意見反映がされていない」として住民団体らが予定していた集会は、急遽、抗議集会となった。
環境影響評価法では、所管の国土交通大臣は環境保全配慮について審査して、仮にそれらが不十分な場合は、計画の認可拒否や条件付き認可ができる。
自治体や住民、環境・原子力防災大臣の意見を受け止めて確認するのが制度の肝である。
石原伸晃環境大臣は「最大限低減しても相当な環境負荷が生じる」「これほどのエネルギー需要が増加することは看過できない」と厳しい意見を出している。
集会では、トンネル掘削による残土処理や大井川の減水など重要な課題も国交省はJR東海の不確かな予測や分析を丸呑みにしていることが明らかになった。税金投入の可能性や地震対策、大深度地下利用への懸念も残る。
終盤には「事業者はJR東海です」(箕作幸治・国交省鉄道局・環境対策室室長)との発言も飛び出した。
こうした国交省の態度については
、「丁寧な説明や情報提供があまりにも少なすぎる」(リニア新幹線沿線住民ネットワーク)、
「日本の環境行政史上に大きな汚点を残すことになる」(日本自然保護協会)
などとして、今回の認可の「即刻撤回」を求める声明がその場で提出された。
(まさのあつこ・ジャーナリスト、2014年10月24日号)