『ある精肉店のはなし』、アンコール上映
2014年11月26日12:07PM
「北出家の仕事を撮らせていただくうちに、この営みこそ“生きる”ことの基本なのだろうと、心が納得したんです」
こう語るのは『ある精肉店のはなし』(ドキュメンタリー映画)の纐纈あや監督だ。11月29日から12月19日まで東京のポレポレ東中野でアンコール上映される。
本作品は2013年11月に同館で公開され、全国計55館の劇場で上映された。自主上映会も各地で頻繁に行なわれており、5万人超の観客を動員。また、本年度の文化庁映画賞「文化記録映画大賞」をはじめ数々の賞も受賞した。
舞台は大阪の貝塚市。纐纈監督はこの地で仔牛の買い付けから飼育、屠畜、精肉、販売まで一連の作業を家族で営む「北出精肉店」の暮らしを撮影した。初監督作の『祝の島』(2010年)では、中国電力・上関原子力発電所の建設に約30年にわたり反対を貫く祝島(山口県)の人々を映像に収めた。纐纈監督は「撮らせていただいた方々や、その空間に漂うある種の“懐かしさ”、細胞に刻まれている記憶が目覚めるような感覚」に導かれるように製作に取り組んだと語る。「原発」や「被差別」といったテーマに寄り添いつつ、人間として、生き物として、「命の根源」を問い続ける。
『ある精肉店のはなし』の詳細は、URL http://www.seinikuten-eiga.com/で。
(内原英聡、11月14日号)