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朝鮮総聯本部の明け渡し確定――日朝交渉に暗雲
2014年11月28日12:11PM
「これでストックホルムでの日朝合意は日本側が破ったことになる。拉致問題解決も暗礁に乗り上げるでしょう」――朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)取材でモンゴルに滞在していたジャーナリストの成田俊一氏は、電話の向こう側で苦々しく話す(17ページに関連記事)。
11月5日、最高裁は朝鮮総聯中央本部の土地建物の競売事件について、朝鮮総聯の抗告を棄却した。これで不動産業のマルナカホールディングス(香川県高松市)に22億円で売却されることが確定した。日本は日韓基本条約に基づき、朝鮮半島における唯一合法な政府は韓国だけとする。そのため北朝鮮との間には国交はないが、朝鮮総聯中央本部施設は事実上の大使館として重要な拠点となってきた。
マルナカの白井一郎顧問弁護士は「今回の取得は投資目的だ。総聯に売ったり貸したりはしない」(11月6日『中日新聞』デジタル版)と話しており、政府も菅義偉官房長官が「法治国家として手続きを踏まえた決定について、口出しできないと北朝鮮側に明快に申し上げている」(前出『中日新聞』)と無関係を主張する。
しかし成田氏はこう分析する。「最高裁はこれまで政治的と言える引き延ばしをしてきたわけだから、菅発言はいかにも嘘臭い。
注目すべきはこの最高裁判断のタイミングだ。拉致一辺倒の日本の意向を受け北朝鮮は再調査をしているが、官邸も国民が満足する結果が出る可能性は薄いと承知している。安倍政権はこの国内批判をかわすため総聯施設を取り上げたのだろう。日朝合意では明文化されていないが、総聯施設の維持は了解事項。だから北朝鮮からすれば合意違反になり、日朝交渉が停滞する可能性がある。だがそうなっても政府は北朝鮮と最高裁の責任だと逃げられるわけだ」
解散総選挙説も噂される中、政治の動きが怪しさを増している。
(本誌取材班、11月14日号)
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