先住民族の自己決定権認めよ――アイヌ代表らが報告
2014年12月8日10:28AM
国連が定めた「第二次世界の先住民の国際10年」の最終年に当たる今年9月、ニューヨークの国連本部で開かれた「先住民族世界会議」に、日本政府代表団として参加したアイヌ民族や琉球・沖縄の代表らが11月17日、東京・永田町の参議院議員会館で報告集会を開き、先住民族をめぐる日本の状況などについて語った。
先住民族とは、侵略され植民地化される以前にその国または地域で歴史的連続性をもって居住していた人々の子孫と、ILO(国際労働機関)第169号条約で定義される。「アイヌ民族なんて、もういない」などと主張する札幌市議がいるが、論外である。2007年に先住民族の権利に関する国連宣言が採択されたことを受けて、日本では翌08年6月、衆参両院で「アイヌ民族を先住民族とすることを求める決議」が採択され、日本政府はアイヌ民族を日本の先住民族と認めた。しかし、沖縄・琉球民族については国連勧告にもかかわらず先住民族とは認めず、169号条約も批准していない。
集会では、市民外交センターの猪子晶代弁護士が「会議での成果をステップに、国内での先住民族の権利を政府にどう履行させていくかが課題」と提起。アイヌ民族評議会の阿部ユポ代表、琉球民族としてスピーチを行なった参議院議員の糸数慶子さん、琉球弧の先住民族会代表代行の当真嗣清さんらが発言。米軍の辺野古新基地移設にNOを突きつけた民意を無視され続け、自己決定権を不当に奪われている現状に「日本は民主主義国家ではない」(当真さん)などと抗議の声を上げると、市民外交センター代表の上村英明・恵泉女学園大学教授は「日本政府は169号条約を批准し、国際基準に従うべき。先住民族の自己決定権をはじめとする権利の履行を進めるために、まずはアイヌ、琉球の歴史調査をきちんと実施すべきだ」などと指摘した。
(片岡伸行・編集部、11月28日号)