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実習先のいじめで自死――妻が大阪の専門学校など提訴

2014年12月19日6:26PM

理学療法士をめざす大阪の専門学校生が実習期間中に自死したのは、指導員のいじめが原因として、遺族が11月28日、対処を怠った専門学校「近畿リハビリテーション学院」と実習先の診療所を運営する医療法人を相手取り、約6000万円の損害賠償を求める訴訟を大阪地裁に起こした。同学院では2008年にも実習生が自死しており、両親は「実習先病院のパワハラが原因」と提訴している。

今回の原告は、死亡した大野輝民さん(当時39歳)の妻・佳奈子さん=大阪市在住。被告は同学院を運営する医療法人「高寿会」(大阪府吹田市)と診療所運営の医療法人「一裕会」(大阪市住吉区)。

訴状などによると、輝民さんは派遣会社など数社を転職後、安定した職に就くため10年に同学院の夜間部に入学、昨年11月から大阪市内の診療所「辻クリニック」でリハビリ補助などの実習を受けていた。成績は学年トップで、卒業を4カ月後に控えて就職先も内定していたが、指導役の理学療法士から過重なレポート作成を課せられ、繰り返し厳しく叱責されるなど理不尽な扱いを受け、同月30日、神戸市内で縊死しているのが発見された。遺書には「本当にもう無理」「終わらせたい」とあった。

心身疲弊が強まっていた輝民さんは、実習先でのプレッシャーの大きさ、指導員との関係など悩みを担任に伝えていたが、学校側は対処しなかった。佳奈子さんは「理学療法士なら将来も安定すると期待し、数百万円の学費を借金などで工面して学んでいたのに、相談に適切に対処しなかった学校側に裏切られた。裁判では専門学校のあり方を問いたい」と語る。

理学療法士の養成校は規制緩和によって12年前から急増、14年現在、全国で249校(定員1万3000人余り)に達する。この間、有資格者は10万人以上と4倍に増え、供給過剰から治療費切り下げや廃校も予想されている。

(村上恭介・ジャーナリスト、12月5日号)

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