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大飯、高浜原発めぐり大津地裁――再稼働の不備を指摘

2014年12月19日6:27PM

関西電力の大飯原発3・4号機(福井県おおい町)と高浜原発3・4号機(同県高浜町)の再稼働差し止めを滋賀県や京都府の住民ら178人が求めた仮処分で、大津地裁(山本善彦裁判長)は11月27日、申し立てを却下した。山本裁判長は「原子力規制委員会(規制委)がいたずらに早急に、新規制基準に適合すると判断して再稼働を容認するとは到底考えがた」いと指摘したが、規制委は高浜原発3・4号機については合格証にあたる審査書案の作成に入っており、審査は最終盤。「司法の責任放棄だ」との批判が上がっている。

大飯原発3・4号機の運転差し止めを認めた福井地裁判決(今年5月)は「福島原発事故の後において、具体的危険性が万が一でもあるのかの判断を避けることは裁判所に課された最も重要な責務を放棄するに等しい」と踏み込んだ。が、大津地裁の山本裁判長は安全性に対する判断を示さなかった。

一方で山本裁判長は、基準地震動の合理性について関西電力が「何ら説明を加えていない」と指摘。田中俊一規制委員長が新規制基準に適合しても安全だとは言わないとしたことにふれ、「新規制基準の合理性に疑問を呈するものといえなくはない」と批判した。さらに「事故に対応する組織や地元自治体との連携・役割分担、住民の避難計画等についても現段階においては何ら策定されておらず、これらの作業が進まなければ再稼働はあり得ない」と断じた。

住民の弁護団長、井戸謙一弁護士は「判断を逃げた決定だが、関西電力が基準地震動の合理性を説明しなかったことを指摘したのは大きな意味を持ち、退路を断ったとも言える。規制委が審査『合格』を出した段階で仮処分を改めて申し立てれば、差し止めを認めざるを得ないだろう」と話している。

再稼働に猛進する安倍晋三政権とは別に、合理的な判断をすることこそ司法に求められている。

(伊田浩之・編集部、12月5日号)

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