「戦争」危惧する女性たち、国会周辺を包囲――防衛予算は過去最大の規模に
2015年2月6日1:25PM
国会周辺は1月17日、オーバーや帽子、マフラーなど赤い衣類を身につけた約7000人の女性たちによって取り囲まれた。
今年最初の国会での大規模な抗議行動となったこの取り組みは、「『女の平和』ヒューマンチェーン(人間の鎖)」と銘打ち、「集団的自衛権の行使容認反対!戦争のできる国にしない!」をスローガンにして、安倍晋三首相にレッドカードを突き付けようという趣旨だ。
幼少の頃、静岡県沼津市で空襲を体験し、焼け跡をさまよった経験を持つ横湯園子元中央大学教授は、「米国と一緒になって戦争し、殺したり殺されたりするのは絶対にいやです。今こそ人口の半分を占める女性が先頭に立って、平和憲法を守ろう」と呼びかけた。
だが安倍政権は、「戦争のできる国」にする姿勢を露骨に強化している。13日に明らかになった新年度防衛予算の総額は、前年度比2%増の4兆9801億円と、過去最大の規模。その内容も、垂直離着陸輸送機V22(オスプレイ)5機を始め、水陸両用車AAV7が30両など、自衛隊の海外戦闘も念頭に置く「海兵隊」化を目指した兵器の大盤振る舞いが目立つ。
こうした装備面の変化は、昨年7月の「集団的自衛権行使容認」の閣議決定強行と連動している。安倍政権は、日本が直接攻撃されなくとも、米国等の同盟諸国が攻撃されることで「わが国の存立や安全が脅かされる」と解釈される「存立事態」の対処を重視。地理的な限定や、「非戦闘地域」という活動領域の制限も外して自衛隊の海外での武力行使を可能にする「安全保障法制の大枠」を、この3月にも提示する予定だ。
同時に自衛隊の海外派兵を、これまでのような国会の時限立法による「特別措置」ではなく、政府の一存でいつでも可能にする「恒久法」も、すでに検討に入った。戦後70年の今年、平和憲法の命運がかかる闘いが山場を迎える。
(成澤宗男・編集部、1月23日号)