「機能性表示食品」で消費者委――欠陥残して制度容認
2015年2月13日5:59PM
「消費者被害を増やすなど問題が多い」と本誌(2014年12月12日号)で指摘した「機能性表示食品」制度の導入について、内閣府の消費者委員会は12月9日、容認すると安倍晋三首相に答申した。導入の前提に9項目の施策を挙げたが、実施される保証はない。
機能性表示とは「体脂肪の減少を助ける」「骨の健康を維持する」など、その食品を摂取すれば身体にどんな効果があるかを明記すること。いまは国が許可した「特定保健用食品(トクホ)」と「栄養機能食品」にのみ認められるが、この効果と安全性の判断を、新制度は企業に任せるという。
新制度はまず下部機関の食品表示部会で議論され、「制度は不要」「根本に遡って議論する必要がある」などの指摘が相次いだ。12月2日の委員会でも「科学的根拠のない健康食品の淘汰が期待できる」などの賛成の一方で、異論が出た。
問題は法的な脆弱性だ。たとえば「トクホ」は健康増進法で内容が定められ、表示のルールが食品表示基準(内閣府令)で定められている。だが機能性表示食品は内容に関する法的規制がなく、表示ルールだけ同基準で定められる。
委員会が掲げる新制度導入の前提には、機能性表示食品の安全性に問題があることや表示された効果に科学的根拠がないことが発売後に判明したときは、「早急・適切・厳格な行政処分や罰則が科されるよう、定員・予算を含め、十分な執行体制が構築されること」などが含まれる。しかしそれらが実施される保証はなく、新制度にはこのような欠陥があることを答申は認めたともいえる。
発足から5年――消費者行政の「司令塔」として創設された消費者委員会は、首相に対して「建議」や「勧告」をする権限をもつ独立機関だが、今度の答申のように、消費者被害の実態を直視せず、政府の打ち出す政策を追認することが多くなっている。
(岡田幹治・ライター、1月30日号)