スカイマーク経営破綻で宮古・石垣路線から撤退――大手航空社は運賃値上げ
2015年2月24日6:04PM
民事再生法の適用を東京地裁に申請し1月29日に経営破綻したスカイマーク社(本社は東京、有森正和社長)の余波が各地に拡がっている。ス社は同日、沖縄県宮古島ならび石垣島路線からの撤退を発表。石垣―那覇便は3月28日で撤退し、今後の再開について「見通しはない」としている。
これを受けて地元住民や旅行代理店などは、日本トランスオーシャン航空(JTA)と全日本空輸(ANA)が下げ止まりだった航空運賃をス社参入前の料金水準に引き上げる可能性を懸念する。
ス社は2013年7月10日に南ぬ島石垣空港と那覇、神戸、成田の3路線に就航したが約1年6カ月で撤退を決定。突然の撤退劇に各市町村も対応に追われている。中山義隆・石垣市長は「宮古島市や県と連携し継続を要請したい」として2月6日、宮古島市と多良間村の代表とともにス本社を訪ね、存続を要望した。日本航空(JAL、JTAの親会社)とANAには料金の現行水準を継続するよう訴え、市議会も9日に臨時議会を開催し、要請決議を提出した。
一方、ス社撤退後の3月29日から、ANAと業務提携しているスカイネットアジア航空(ソラシドエア・本社は宮崎市)が石垣路線に新規就航する。同社の運賃設定は既存社よりも高額だが、新規社を保護・育成する国土交通省の制度により、既存社は新規社の運賃より「安く値段を設定できない」(JTA関係者)、また、この仕組みが「妨げになっている」(同)との理由で既存2社は「現段階で運賃(設定)は未定」としている。
石垣市観光交流協会の高嶺良晴会長は「(石垣島含む八重山諸島の)入域客数が伸びたのはスカイマークのおかげ。住民の足として現状を維持してもらいたい」と語る。八重山内外を結ぶ「人」の交通手段は空路しかない。13年に現空港が開港したが、「離島苦」(格差)が再び押し寄せてきそうだ。
(砂川孫優・『八重山毎日新聞』記者、2月13日号)