沖縄平和運動センター議長・山城氏ら逮捕、釈放へ――運動のリーダー「狙い撃ち」か
2015年3月10日6:40PM
普天間基地(沖縄県宜野湾市)の移設先となっている名護市辺野古の米キャンプ・シュワブゲート前で2月22日、沖縄平和運動センター議長の山城博治氏ら二人が米軍に拘束され、その後、移送された沖縄県名護警察署で刑事特別法違反容疑で逮捕された。山城氏らの身柄は翌23日、名護署から那覇地検に送致されたが、同日中に釈放された。
シュワブゲート前では昨年来、新基地建設に反対する市民らがテントを張って抗議活動を続けている。山城氏はその中心人物であり、反基地運動のリーダーでもある。それだけに「狙い撃ちだ」という市民らの抗議が鳴りやまない。
地元紙の報道や現地関係者の話によると、当日午前、ゲート前では数十人の市民らがいつものように抗議を開始。抗議がエスカレートしてきた頃、山城氏が市民側に少し後ろに下がるように呼びかけようとした矢先、米軍側の警備員が山城氏にとびかかり、両足をつかんでゲート内に引っ張り込んだ。後ろ手に手錠もかけられた。
この一幕は不審な点が多い。山城氏はシュワブ前の抗議行動がはじまって以来、市民側と警備側の双方に怪我人を出さず、それぞれが一線を越えないよう現場の警備サイドとくりかえし折衝してきた人物。いつも抗議が終わると、余計な悶着が起こらぬよう市民らをバスに乗せ、帰していた。そんな現場を筆者も目撃している。
沖縄県警関係者は本誌の取材に「山城さんは沖縄県警側からしても貴重な存在です」と明かす。
「米軍から二人の身柄を引き受けた名護署も対応に困ったはずです。山城氏を引っ張り込んだ米軍側の警備員は敵対心だけで動き、県警サイドときちんとした調整をしていなかったのではないか」
一方、建設工事をスムーズに進めたい防衛省は、ゲート前のテントが道路交通法に抵触するとして強制撤去を検討している。
(野中大樹・編集部、2月27日号)