砂糖業界団体から西川・前農水相への献金問題――TPP反対派と沖縄への抑えか
2015年3月12日5:48PM
西川公也農林水産大臣への砂糖業界団体からの違法献金疑惑が2月23日、大臣辞任につながった。砂糖業界団体「精糖工業会」は2013年3月に国から補助金をもらっていたのに、4カ月後の7月、同工業会が運営する「精糖工業会館」から100万円の献金を西川氏の政党支部にしており、政治資金規正法の「補助金の交付決定から1年間の献金禁止」に違反する疑いが浮上していたのだ。
この問題に対し元外交官の天木直人氏はブログで「西川大臣の献金疑惑がTPP(環太平洋戦略経済連携協定)交渉と直接関連付けられるなら、米国主導のTPP交渉に傷がつく。つまり米国によるTPP交渉合意への対日圧力が、相手国の閣僚の汚職を招いたと責められかねない」と指摘した。
西川氏は同年2月に自民党TPP対策委員長に就任。一方、精糖工業会の久野修慈会長は「TPPを考える国民会議」副代表世話人を務めるなどTPP反対派の急先鋒だ。TPP反対派から自民党担当者への献金は明らかなのだ。
久野氏は元大洋漁業の取締役などを歴任、同社の社外取締役だった故・白洲次郎氏の秘書を務めた経験もある農水業界の有力者。歴代農林水産大臣と太いパイプを有していたとされ、TPP推進の経済産業省官僚の宗像直子・通商機構部長(当時)が民主党政権時代の12年に久野氏と面談し、「農水大臣を説得していただきたい」と要請したこともあった。
「久野氏は『TPPを慎重に考える会』の勉強会で宗像氏の“暗躍”を暴露、米国追随の官僚主導で進むTPPの実態を明らかにしたこともあった。また砂糖の関税撤廃となれば、原料の産地である沖縄や北海道は大打撃を受ける。今回の献金疑惑は、安倍政権と対立する沖縄県民やTPP反対派を抑える側面と、不当な対日圧力への批判が広がる側面を併せ持っている」(永田町ウォッチャー)
献金・辞任問題の今後が注目される。
(横田一・ジャーナリスト、2月27日号)